この時期になると、だいたい新聞がすごい勢いで
薄くなってくる。あんまりまじめに新聞も読まなかった
一年だったが、それでも日経新聞の豊田泰光さんの
スポーツ欄のコラムはだいたい読んだ。それに年末
本屋で、コラムを単行本化したのを手にして読んだ
けれど、やっぱりおもしろかった。
(豊田泰光『チェンジアップ人生論』日本経済新聞社)
「一生懸命、負けるなよ」(三原脩)
「カンというのは経験の集積だね」(水野成夫)
「一番得意なところで、手を抜くんですよ」(竹本縁太夫)
「独自色にこだわる監督はたいがい失敗する」(豊田泰光)
そんな薄い新聞の記事には「一年をふりかって」が多くなる。
個人的にはふりかえっても、別にどうということもないのだけど
総じて、かなりよい年だったんじゃないかと、思っている。
まずは、今年はちょっと研究者っぽい一年だった。ひさしぶりに
いくつか学術雑誌に投稿して、専門家からの的確なご意見や
批判をいただいた。頼まれて原稿を書くのもいいけれど、
やはり自分から投稿してコメントをいただきながら、それなりの
モノがかけたときには、なんともいえない充実感がある。
外国に行って発表するという経験も久しぶりだった。
希望学でも釜石調査は忘れらない思い出
になった。希望学は来年が節目の三年目になる。
その一方で、今年は後半になって、せっかく講演や取材の
お話しをいただいても、お断りすることが多くて、たいへん
申し訳なかったと思っている。ごめんなさい。またご縁が
あれば、来年度以降にでも、お声をおかけください。
広島東洋カープの投手だった大野豊さんは、40歳を超えても
現役で活躍したが、毎年新しい変化球を身につけようとして
いたという話を聞いたことがある。私も後厄になって
実はまだ何にも知らないことにたくさん気づいたりした。
来年早々、新しいチャレンジの本も一冊出ます。感想など
いただければ幸いです。
来年はどんな年になるのか、したいのか、わからない。ただ、
別にリキんで目標とかなくても、何か新しい経験や出会いが
来年もあるんじゃないかな、とそんなことを気楽に思ったり
している。
それにしても、
今年一年も、みなさん、たいへんお世話になりました。
今年もいろんな出会いがありました。ありがとうございました。
よいお年を。
玄田 有史