視野

今朝も
テレビを
観ていたら
オリエンタルランドの
加賀見俊夫会長が
マスクをして
インタビューに答えていらした。

加賀見さんには
むかし、とある研究会で
ご一緒し、
たいへんお世話になり、
かつとてもよくしていただいた。

インタビューのなかで
ディズニーリゾートは
「平和産業」であることや
接触が基本であること、
これまでなんども危機にさらされてきた
ことなど、短い時間だったが
印象的な話をたくさんされていた。

その上で今後を語られる内容で
印象的だったのは、
ひとことふたこと
つぶやかれた
「アイコンタクト」
という言葉だった。

ソーシャルディスタンスだとか
物理的なコンタクトはむずかしかったり
距離は多少離れていたとしても、
アイコンタクトはできる。むしろ
離れているからこそ
これからはアイコンタクトがますます
大事になる。そんなお話しだった気がする。

それは舞浜で大切なのではなく、
どこであってもそうなのでないかと
思って、朝から腑に落ちた。

たとえば、スポーツでも、
良いプレーの背後にあるのは、
きまって多くの場合、
アイコンタクトだ。
即興でうまくいくチームには
信頼に裏打ちされたアイコンタクトがある。

以前、中学生の1週間にわたる
地域体験(トライやる・ウィーク)について
神戸で情報収集のようなことをしていたとき、
先生が、体験中の子どもたちが大人から
「目でほめられる」
ことで自信を持ったり、大きく成長すると
言われたのも思い出した。それは緊張を和らげる
アイコンタクトならでは、だろう。

マスクの上からのアイコンタクトは、
これからの新しいつながりの時代の
古くてそして新しい
大切な取り組みなのかもしれない。

オンラインの会議などでも
上手にコミュニケーションしている人たちの間では
アイコンタクトも、
うまくやっているような気がする。

たしかにアイコンタクトには
通常、読み取りなどの集中が必要とされたり、
視線を注ぎ続ける努力なども求められることも多い。

それはそれで
もちろん大切なのだろうが
もう少しゆるくて風通しのよい
アイコンタクトもあっていい。

視線とか視点とかいうが、
点や線は、結構つかれる。
これからの視野は
視面くらいでもいいのではないか。

集中しすぎず周囲を広めに見渡しながら
たまたま目に入ってくる偶然なども大切にしつつ、
そのなかで、なにかいいことがあったら
目でお互い感謝したり、支えあったりする。

アイコンタクトが
物理的に不可能なはずの
ラジオは、そう考えると
どことなくアイコンタクトに
通じる感じがする。
それは、遠からず近からず
ゆるく「投げかける」「受けとめる」
の関係性が、どこかで
似ているからかもしれない。

アイコンタクトって
面白いなと思った。

差別

今朝早く
テレビで
ドキュメンタリーを
何気なく
みていた。

そこでは
過去に
理不尽な差別を
長く受け、
壮絶な人生を
歩まれてきた方が、
そのことに対して
「憎む」や
「恨む」など
の言葉をあえて使うことなく、
しぼり出すようにして
ただ
「悔しい」
と話をされていた。

とてつもない
ことだと思った。

 

2020年5月の労働市場(5)

これまで
2020年5月の
労働市場の動向を
見てきた。

非労働力人口、
休業者、
短時間就業者など、
かつてない激動を示した
4月の状況から、
すこしずつ元への
軌道修正が見られつつあるのが
5月の動きといえる。

そのとき気を付けるべきは
労働市場の動向の底流には
多くの場合、
双方向の流れが広く共存している
ということを忘れないことだろう。

それはどういうことなのか。

総務省統計局「労働力調査」に
2020年4月と5月の両方に調査協力した
回答者の状況からふたたび考えてみる。

そこでは4月には非労働力人口だったのが
働き止めなどを終え5月になって仕事を開始し
就業者となった人々が、98万人存在していた。
一方、逆方向の動きとして、
4月には就業者として働いていたのが
諸般の事情から仕事を断念し非労働力人口になった人々が
76万人も、5月時点では同時に存在していた。

結果だけみると、非労働力から就業者への
差し引き22(=98-76)万人のシフトが生じたわけだが、
(それだけでも十分に大きいのだが)
その背後には色々な状況が交錯しながら、
実にのべ174(=98+76)万人にも及ぶ人々の働く状況の変化が
あったことになる。

同様のことは5月に増加の兆しが強まった
失業者の動向にもあてはまる。
4月から5月にかけて雇い止めの影響なども受けて
就業者から完全失業者へと
3万人ほど移動した結果となっている。
だが実際には、就業者から完全失業者に移行した
人々は24万人に達しており、
反対に失業者から就業者に移行した人々が
21万人いたため、
結果的に差し引き3万人と比較的小さな変化に
とどまっているようにみえただけなのだ。

同じく非労働力人口から職探しを始めて
失業者になった人が24万人いた一方で、
それまで失業状態だったのが働くのを断念して
非労働力となった人々が、
別のところで21万人も存在している。

労働市場では、多くの場合、
一方通行ではなく、背後には双方向の
動きがあることを、状況を解釈する際には
注意しなければならない。一方的な
動きだけだと、決めつけてはいけないのだ。

それは、非正規から正規への移行についても
あてはまる。しばしば非正社員は正社員に
なることはできない、といったような
強い説明や解釈がなされることがある。

しかし2020年4月に非正規の職員・従業員
だった人のうち、5月に正規の職員・従業員
となっていた人は、実のところ、51万人に達している。
一方で正社員から非正社員に移行していた人も
52万人に及んでいたため、差し引きだけで
みると、正規と非正規の構成はほとんど変わって
いないか、若干非正規が増えたように見えてしまうのだ。

実際には、総じてのべ100万人にも及ぶ正規と非正規の
雇用形態の変化をめぐるダイナミズムが
一か月という短い期間でも生じている
のが、労働市場の実際だ。

このようなダイナミズムは、今回さらに
拡大している。就業者数、失業者数、非労働力人口など
のそれぞれの動き(フロー)をみると、その数は
前年の2019年の4月から5月の動きよりも、
おしなべて拡大している。

その意味でも双方向でも激動の
真っ最中にあるのが、
2020年5月の労働市場の特徴といえるだろう。

 

2020年5月の労働市場(4)

感染症拡大後の労働市場の特徴を
表現するとすれば、
3月が感染浸透による変化の「兆候」、
4月が感染爆発に対する緊急の「対応」
とすれば、5月は、これまでの対応の継続と
感染の一時収束を踏まえた緩やかな回復が
「混在」した時期だったと言えそうだ。

このうち5月の状況に関する
性別による違いを確認してみる。

まず4月に急速に進んだ非労働力化については
男女にかかわらず歯止めがみられつつある。
人口に占める労働力人口の割合(労働力人口比率)は、
4月には男性よりも女性のほうが全体的に
低下の度合いが大きかった(対前年同月)。

それが5月には労働力人口比率は、
前年同月より男女ともに低下しているが、
その低下幅は男性が0.4%減であるのに対し、
女性が0.3%減と、ほとんど差がなくなっている。

総務省統計局「労働力調査」の
4月と5月の両方の調査対象者に着目した
結果もある。それによると、
4月に非労働力人口だった人々のうち、
5月に労働力人口に移行していたのは
男性が3.2%、女性は2.9%だった。

このように割合で見ると、男性のほうが
労働力化が若干進んでいるようにみえるが、
これを人口でみると、男性が47万人なのに対し、
女性は75万人まで達しているともいえる。

4月には一時的に就業を断念していたものの、
5月になって働き始めているのは、
男性だけでなく女性にも顕著に観察される。

一方で、4月に休業者だった人々の
5月の移行状況を見ると、
実際に仕事をした従業者への移行が
男性で48.1%だったのに対し、
女性は41.1%にとどまり、
7ポイントもの違いがみられる。

ただ、2019年の4月から5月では
休業者だった女性のうち従業者と
なっていたのは、34.7%とより少なかった。
女性のうち、あくまで4月の休業を一時的な
待機として、5月には早速仕事に戻っていた場合も
今回は少なくない。

だが、学校の再開も多くが現在も部分的なものに
とどまっていることなどから、子どもの世話などを
理由として、仕事への本格復帰が進んでいない状況は、
今も継続しているようだ。

雇用者に占める休業者の割合(雇用者休業率)は、
4月には男女ともに15~24歳の若年層と
65歳以上の高齢層で高かった他、
女性では20代、30代、40代などでも高かった。

5月になると、雇用者休業率は、
性別と年齢を問わず、低下していることが
確認できるが、それでも小さな子どもを抱える
母親を多く含む女性では、その割合は相対的に
今も高い。

なかでも有配偶(既婚)の35~44歳の女性では
4月の労働力人口比率は、前年同月に比べて
35~39歳では2.2%減、40~44歳では2.3%減と
抜きん出て大幅に下落していた。

これが5月になると、40~44歳では0.6%減と
やや持ち直しているものの、35~39歳では
3.5%減と、下落幅は拡大している。
こちらもこれまで再三述べているとおり、
これらの就業を断念せざるを得ない状況にある
女性のなかには、就職氷河期世代が含まれている。

https://genda-radio.com/archives/date/2020/06/01

今月発売予定の『中央公論』2020年8月号に
寄稿した内容には、次の文章を含めた。

感染症の拡大前までは、既婚女性の正社員化が進むことで、
性別による固定的な役割分業が、氷河期世代を境に
今度こそ終焉へと向かうのが、期待された。
しかしながら、その期待は現在裏切られつつある。
氷河期世代女性の直面する悲劇は、
たんに就業機会の喪失にとどまらない、
今回の状況が引き起こした日本社会の損失でもある。

このような損失をさらに深刻化させないためにも
感染症の第2波の発生を抑える努力を続けるとともに、
ひきこもり支援だけにとどまらない氷河期世代全体への
支援と適正な評価が、今後とも必要とされている。

 

2020年5月の労働市場(3)

2020年4月に労働市場に
起こった歴史的な変化として
非労働力人口の増加、
休業者の増加とならんで、
短時間就業への一斉シフトを
指摘してきた。
https://genda-radio.com/archives/date/2020/05/31

このうち
非労働力人口のなかには
徐々に労働力化に向かい始める動きもみられ、
休業者も依然として多いものの
およそ半分弱は仕事に復帰する動きを確認した。

では残った短時間就業の一斉シフトは
その後5月になってどうなっていたのだろうか。

2019年4月には、非農林業従事者者のうち、
月末一週間に1~34時間就業の雇用者(以下、短時間雇用者)は
3月より887万人増と大きく拡大していた。
新年度のパート・アルバイトの採用にも
急ブレーキがかかっていたことを考えると、
短時間雇用者がここまで増えたのは驚異的であった。

このような短時間雇用への一斉シフトをもたらしたのは、
正社員を含む一般時間就業からの移行だった。
非農林業で週35時間以上就業する雇用者の減少幅は、
前月に比べて1289万人、対前年同月でも198万人と、
驚くべき減少を示していた。

それが5月になると、短時間雇用者は前月より823万人減少し、
同時にかつ一般時間就業者は983万人増加している。
まさに短時間就業から一般時間就業への
明確な「より戻し」が生じていたことになる。

4月に生じた短時間シフトの多くは、緊急事態宣言による
休業実施や自粛要請を受けたものと予想されるが
その背景としては、元々大型連休によって就業時間を
短くすることが、事前に組み込まれていたことで
スムーズに実施できた面もあった。

そのため大型連休が終わり、緊急事態宣言も解除されれば、
おのずと通常の労働時間へと戻る人々も多くなったものと
考えられる。

ただし短時間シフトには、一時的な連休の影響だけではなく、
働き方改革の大号令以降続いてきた、短時間で生産性を上げる
ための取り組みの本格実施や加速化も背景として機能していた
可能性がある。だとすれば今回を契機に労働時間の短縮が
定着する動きも一部で広がるかもしれない。

総務省統計局「労働力調査」からは、
月末一週間の就業時間とならんで
一か月の就業日数と就業時間も把握できるが、
就業者全体について、
今年5月の平均月間就業日数は、
昨年同月に比べて1.7日減少し、
4月の0.8日縮減よりも減少幅はさらに拡大している。
同様に平均月間就業時間も
4月の対前年5.8時間減に比べ
5月には16.6時間減と、短縮幅はより大きくなっている。

この労働時間の短縮の継続は
正規の職員・従業員、いわゆる正社員でも顕著にみられる。
正社員では、5月に平均月間就業日数が
対前年同月1.8日減、平均月間修業時間が20.8時間減と、
それぞれ4月の0.6日減、9.1時間減に比べて
削減幅は拡大していることがわかる。

その際問題は、5月以降、就業規則に定められた
通常の就業時間への復帰と並行して、
そのなかでも就業時間を本当に必要な時間だけに
集中することで、結果的に時間あたりの労働生産性が
向上しているかどうかだろう。その状況は今回の
公表結果からは把握することができず、今後の検証に
委ねられることになる。

感染症拡大への対応経験を一つの契機として、
在宅勤務やオンライン利用の業務も
広がりつつあるが、それが生活時間や労働時間の活用見直し
を求めることになって、望むらくは、
働きやすさや働きがいの向上につながることだろう。

一方で、週60時間以上勤務などの長時間労働は、
前年同月よりは少ないものの、こちらも先月よりは
確実に増えつつある。誰かの業務効率化が、
別の誰かへの負担のしわ寄せを前提とする
のであれば、それは本末転倒である。

ただオンラインや在宅勤務などの仕事の個別化は、
それらのしわ寄せの発生を見えにくくすることにも、
同時に注意が必要になる。その調整は、一義的には
管理職である上司と人事担当者の役割であるが、
見えにくい構造があるぶん、働く本人も適宜
必要な声(ボイス)を挙げることも求められる。

新たに望ましい仕事の仕方と
業務の公正かつ適切な配分について
現在はまだその模索の途中過程であり、
過渡期にあるといえるのだろう。

2020年5月の労働市場(2)

感染症拡大第1波による
雇用・就業への影響の
特徴の一つとして
休業者の未曽有の急増を当初より再三指摘してきた。
https://genda-radio.com/archives/date/2020/04/30
https://genda-radio.com/archives/date/2020/05/17
https://genda-radio.com/archives/date/2020/05/30

以下、2020年5月の状況からは、
休業者の増加は、おしなべて4月にピークを迎え、
5月にはかなりの部分が
仕事への復帰を果たしつつあるものの、
同時に今でも多くの就業者が引き続き
休業状態にあることが見て取れる。

https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c23.html

仕事を辞めてはいないが、調査期間中の1週間に
仕事を完全に休んでいた「休業者」は、
2020年4月に、おそらくは過去最多であろう
597万人に達し、就業者全体の9.0%に及んだ
(おそらくというのは、東日本大震災直後には
調査ができなかったため)。

翌5月になると、休業者数は423万人となり、
原数値の比較のため、
季節変動の影響などに注意する必要はあるが、
前月よりは174万人の減少、就業者(=従業者+休業者)
に占める休業者の割合も、6.4%まで低下している。

対前年同月の休業者数の増加幅が、
4月には実に420万人に達していたのに対し、
5月は274万人と、依然として昨年に比べれば
大きく増加はしているものの、その拡大ペースには
一定の歯止めがかかりつつあると見てまちがいないだろう。

産業別にみても、ほとんどすべての業種において
前年同月よりは多いものの、先月よりは減少している
という傾向が見られる(※原数値)。
4月に休業者が急増した
飲食サービス業や生活関連サービス業でも
5月にはその数は縮減している。
唯一例外として、需要の回復が未だ見込めない
ことも反映しているのか、
宿泊業と道路旅客運送業のみ
休業者が先月より減っていない。

医療崩壊が危惧された
医療・福祉業態からの休業者も
4月の50万人から5月には35万人へと減り、
前年同月からの増加も25万人から12万人へと
半減するなど、現場が落ち着きを取り戻しつつある
ことが休業に関するデータからも予想される。

自営と雇用、正規と非正規など、
仕事の形態別にみても、
4月から5月にかけて休業者は
絶対数と就業者に占める割合のいずれでみても
減少傾向は、共通している。

それでは、4月中の休業を終えた人々は、
5月には、一体どこに向かったのだろうか。

総務省統計局「労働力調査」では、調査対象の
約4万世帯のうち、半分は2ヵ月連続で回答する
ことになっている。そのため今年の4月末時点
で休業者となっていた人の5月末時点での就業状況を
把握することができる。

それによると4月の休業者のうち、
44.0%が「従業者」として5月に
仕事をしていたことがわかる。
すなわち半分弱の休業者が、翌月には
元の仕事に復帰するか、新しく仕事をみつけて
働いていたことになる。

これを昨年2019年の4月の休業者と比較すると
5月に従業者となっていた割合は39.5%、
さらに一昨年では34.8%にとどまっていた。
ここからも、今年4月に急増した休業者の多くが、
緊急事態宣言の発出や自粛要請などを受けて、
その後の復帰などを前提に
あくまで一時的に仕事を休んでいたことが示唆される。

一方、今年の4月の休業者のうち、
5月時点も休業状態を続けていた割合が
49.4%と、およそ2人に1人が休業のままであるのも
また事実である。その割合は、
2018年の51.4%、2019年の50.3%と比べても
大差のない水準にある。

そして休業後に仕事への復帰がならず、5月には
完全失業者として職探しをしていた割合が1.7%、
働くことを断念し非労働力人口となった割合が4.9%
であった。特に失業への移行が1.7%にとどまっていることは、
2018年時点ではそれが3.6%、19年時点では2.5%だったことと
あわせても特筆すべき点だろう。
今回の緊急措置としての休業の一斉実施の多くが、
雇用打ち切りまでの時間稼ぎというよりは、
失業の回避に部分的にせよつながっていることを
物語っているように思われる。

5月時点の約200万人の完全失業者のうち、
10万人程度が先月には休業していた計算になる。
また昨日見たように、非労働力人口は5月に入って
労働力人口への移行の兆しが見え始めているが、
背後にはそれと並行して休業からの流入も生じていたことになる。

育児や介護などによる休業と異なり、
経営上の事情による休業は、企業が経営危機を
一時的なものと見込んでいる場合に選択するものだろう。
しかし、その休業状態が長引くことは、それだけ
業績の回復には時間がかかることを同時に意味するため、
雇用契約の打ち切りにつながるリスクも高めることになる。

今後は、引き続き400万人を超える休業者のうち、
どの程度が失業もしくは非労働力の状態へと移行するかが
就業動向全体を大きく左右することになるだろう。

2020年5月の労働市場(1)

今朝8時30分
総務省統計局「労働力調査」2020年5月分
の基本集計の結果が発表。
4月に比べて失業への影響が
現れ始めている。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c03.html

5月の完全失業者数は197万人(季節調整値)
とギリギリ200万人を下回ったが
4月に比べて19万人増と
3月から4月の6万人増に比べて
増加幅は広がった。
その結果、完全失業率も2.6%から2.9%へと
0.3ポイント上昇している。
一か月で19万人の増加は、
リーマンショック時の2008年11月から12月にかけての
26万人増以来となる。

完全失業者数は、対前年同月では33万人(原数値)増と
こちらもリーマンショックの余波が残っていた
2010年1月の46万人増以来の増加幅となっている。

契約満了や勤め先の都合による非自発的な理由による
失業も、先月より7万人(季節調整値)増えた
(3月から4月は増加せず)。

ただ、今回の結果で最も驚いたのは、
就業者数が6629万人(季節調整値)と、
横ばい、もしくは先月に比べると
ごくわずかだが増えたことだ(4万人増)。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c01.html#c01-10

対前年同月の減少幅は76万人(原数値)と大きいが
それも4月の減少幅の80万人(同上)と同程度
もしくはいくぶん持ち直している。いずれにせよ、
就業機会の受け皿のさらなる底割れは5月時点でも
回避されているようにみえる。

これらの失業者数の増加や横ばいの就業者数を
もたらしていた考えられる背景の一つとして、
4月には非労働力人口として職探しをしていなかった人々から、
5月になって職探しを新たに始めた人が早くも現れていたこと、
すなわち「非労働力人口」から
就業者と完全失業者からなる「労働力人口」へと
移行した人が出始めていた可能性が示唆される。

具体的にはまず非労働力人口は3月から4月にかけて
全体で94万人(季節調整値)増えたが、
4月から5月には21万人(同上)の減少へと転じている。
自粛要請の緩和などを踏まえて、これまでの言葉でいえば
「働き止め」がやや緩和されつつあるのかもしれない。

あわせて労働力調査に4月と5月の両方に回答した人々から
求めた結果によると、4月に非労働力人口だった人々のうち、
翌5月に労働力人口となった割合は3.0%となり、
19年の2.5%や18年の2.3%よりも、
やや高くなっている。

さらに傍証として、本日、
厚生労働省「職業安定業務統計」2020年5月分も
同じく公表されているが、
3月、4月の新規求職申込件数(季節調整値)がそれぞれ
マイナス6.9%、マイナス5.5%と大きく減少していたのに対し、
5月にはプラス4.8%と増加の傾向を見せ始めている。
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/covid-19/c04.html

そのことは、新規求人数が5月になって季節調整値では
はやくも増加に転じたにもかかわらず、
結果的に有効求人倍率の1.32から1.20への低下にも
寄与するかたちとなっている。

ただし非労働力人口も全体では短期的に
減少へと転じているが、対前年同月でみると
4月の58万人増(原数値)に続き、
5月も37万人増(同上)と、
就業にブレーキは、なおかかり続けている。

特に、罹患をおそれた働き止めの兆しが
当初から表れていた65歳以上の非労働力人口は、
5月には前年同月に比べて20万人増(原数値)と拡大が続いている。
一方で、4月ではその幅が35万人だったことと比べると、
高齢者のあいだでも、罹患のリスクを抱えながら働き始めようと
する人々がすこしずつ出始めているようにも見て取れる。

さらに、学生アルバイトも多い15~24歳や
氷河期世代を含む35~44歳女性などでも
非労働力人口が、4月に引き続き5月も
前年同月に比べて増えている状況は変わらない。

全体として、緊急事態宣言の解除を受け、
就業に進みつつある人々が出始め、
その結果として、失業者も増え始める一方で、
依然として働くことに慎重であったり、まだ
断念している人々も少なからず混在しているのが
5月時点の状況といえそうだ。

5月の状況をさらに詳しく見ていく。

電話

今日は夕方から
就職氷河期世代支援
に向けた全国プラットフォーム会議
というのに参加。
もちろんオンライン。

時間が短く、
参加者は2分程度の発言を
予め求められる。

順番が回ってくる直前、
音声も画像もつながらなくなる。
さてどうしたものかと思っていると
事務局から電話がかかってくる。

結局、電話を通じて発言し、それを
事務局のマイクで拾ってもらい、
なんとか難を逃れたと思う(たぶん)。
事務局の咄嗟の判断と対応に感謝。
ちょっと無責任だけど、
こういう機転、なんか好きだ。
まさにブリコラージュ。
電話、バンザイ。

結局一度、再起動したら、
元に回復しました。

ちなみに、2分での発言用に準備した
原稿は次のとおり。

感染症の拡大による就職氷河期世代への逆風の一つに、
性別による役割分業の復活の兆しがあります。
感染爆発を避けるための学校一斉休校は、
保護者にも課題を突き付けました。
子どもに寄り添うため、母親は休業したり、
仕事を辞めざる得なくなりました。
今後状況が長引けば、家庭は女性が守るもの
という役割分業が再燃するかもしれません。

人口のうち仕事をしている割合を示す労働力人口比率が、
30代、40代の女性では家事や育児で仕事を離れる人が
多くなるため、低くなりがちです。
年齢別形状からM字カーブと呼ばれたその傾向は、
解消する方向に進んでいました。
しかし資料のように、就職氷河期世代を含む
35~44歳既婚女性では、労働力人口比率が下落し始めています。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shushoku_hyogaki_shien/suishin_platform/dai2/siryou8.pdf

氷河期世代の女性には、卒業後就職に苦労し、
結婚後の世帯収入も限られ、非正規雇用で
長年働いてきた人々がたくさんいます。
同時に経験を積み、正社員ではなくても、
職場で頼りにされる存在でもありました。
人手不足を背景とした人材確保や、
政府による就職氷河期世代支援プログラムも、
本格的に実行される矢先、感染症がやってきました。

感染症の拡大前までは、女性の正社員化も進み、
男女の固定的な役割分業が氷河期世代を境に
終焉へと向かうことが期待されました。
しかし、多くの女性は家庭に戻らざるを得ず、
その期待が実現できるかどうか、
今ギリギリの局面にあります。

むずかしい状況が続きますが、
3年間で正規雇用者30万人実現の目標が
達成されるよう、引き続き着実な政策の実施
をお願いしたいと思います。

対面

昨日は
実にひさしぶりの
対面形式の会議。
調べてみると
対面は3月末以来のようだ。

少人数ではあったが、
イスとイスの距離を十分離し、
入り口・出口は開け放し、
もちろん全員マスク着用。

議事の司会・進行の役割を
およそ2時間担当する。
結構、みなさん話をされる。
たくさんご協力もいただく。

それが
終わったとたん、
思いがけず
ズドンと疲れが出る。

そのときは
なんでこんなに疲れているんだろう
と思ったが、
後から考えると
久しぶりの対面での会議だったから
なんだろうなと
思いなおす。

長い期間、
すっと話しをしてこなかった人たちの
たいへんさが、
ほんの少しだけわかる
気がした。