希望学のラクレ(その5)

 
挫折とは単純な過去ではなく、
過去とのかかわりにおいて
現在の自分を位置づけるための
道具であると述べたが、
これは希望についても同様である。
希望もやはり単純な未来ではなく、
個々人の現状の評価に依存するものである。
なぜなら希望とは、それぞれが何を問題だと考え、
何をどのように改善してほしいと思うのか、
現在の不全感の解消や願望の実現を未来に求めたものであり、
現在の自分がおかれている状況や、自分が行なっていること、
それらが将来どうなるかに関する予測という側面をもつ…
―石倉 義博
(東京大学社会科学研究所専任講師、社会意識論)
中公新書ラクレ
『希望学』
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