「パートタイマー」の登場

では1960年代になると
どうでしょう。そこでもまだ
「正社員」「非正社員」
は登場しません。

むしろ60年代に広まった
新しい働き方といえば
なんといっても
「パートタイマー」
です。

昭和39年(1964年)の
労働省(当時)による
『労働白書』(当時)には
こんな記述があります。

「これはさきにも述べたように
求人難の進展に伴い
家庭婦人が労働市場に進出し、
さらには既婚者で臨時的な仕事
あるいはパートタイマーなどの型で
就業する者が増大していることを
示すものであろう。」(113ページ)

家庭婦人という表現もなつかしいですが、
おそらく労働白書にパートタイマーの
言葉が登場したのは、この年が最初のようです。

翌年の白書にも、

「このような求人難の進展に対処して、(略)
新しい対応として季節工を採用したり、
大都市の食料品、電気機器などの産業で
家庭の主婦層を中心とするパートタイマー
を活動する動きが目立ってきた。」(120ページ)

とあり、新しい動きとしてのパートタイマーへの
注目が、その後本格化していきます。

ちなみに日本の代表的な賃金に関する統計である
『賃金構造基本統計調査』(旧労働省・現厚生労働省)に
「パートタイマー」による区分が始まるのは
昭和44年(1969年)からです。

このようにして1970年代になると
「パートタイマー」への関心が広がっていく
ことになるのです。