総務省統計局「労働力調査」
によれば、
2020年8月には
これまでと同様に
宿泊業、飲食サービス業で
就業状況の悪化が続いているのに加えて、
製造業の悪化も指摘されている。
具体的には
対前年同月に比べて
就業者数は
宿泊・飲食業では28万人減少した一方、
製造業では52万人減少と感染拡大後
最大の減少幅となっている。
製造業の悪化には、
同じく感染拡大で経済活動の停滞が
著しい海外からの受注が大きく減少した
可能性の他、
労働集約的な職場などで
作業密集を避けるための人員調整なども
行われたのかもしれない。
あわせてここでも
過去7年平均との比較を産業別に
行ってみた。
すると、
2020年8月の過去7年との就業者数の
平均差は次のようになった。
卸売業、小売業 マイナス39万人
製造業 マイナス17万人
農業、林業 マイナス12万人
宿泊業、飲食サービス業 マイナス4万人
意外にも過去7年平均との比較では
卸売・小売業の減少幅が最大となっている。
さらに4月以降、同様の計算を行うと
卸小売りの減少幅は毎月拡大を続けている。
感染後の困難として、
収入の減少をあげる声が多いが、
それは消費の停滞へと直結する。
そのことが卸小売の就業への
打撃を強めている可能性がある。
もしかしたら春先や初夏には
例の特別定額給付金の
10万円支給が当時
小売業などの売り上げを
支えていた面もあったのかもしれない。
ただそれはあくまで一時的でも
あったため、現在は売上の低迷と
それに伴う従業員の削減につながっている
ことも考えられる。
一方、注目を集めてきた
宿泊・飲食業では、過去7年との差で
マイナスが最も大きかったのは
6月時点であり、7月、8月と
いくぶん持ち直しつつある。
卸売・小売業は、
製造業とならんで
就業者数が1000万人を超える
最大の就業の受け皿でもある。
その動向にはもっと注目を
していくべきだろうし、
今後悪化が進む場合には、
必要な重点的支援も
検討すべきかもしれない。