ひさびさ

 今朝、ひさしぶりに後ろ向きに歩くオジさんに
 あった。文字通り、後ろ向きなのだ。最初に
 お目にかかったのは、いつだったろう?
 3、4年前だったか。あのときの衝撃の映像は
 忘れられない。いまだに続いていたとは。
 こちらは、後ろからおいかけるかたちになる
 ので、なんか目が合うかたちになってしまう
 のだ。背中ではなく、目だ。背中で語る男
 ではなく、まさに目で語る男だ。その表情は 
 以前とまったく変わるところなく、なんの躊躇
 も不思議もない。純な目だ。
 私は後ろ向きのオジさんを自転車で追い抜き
 ながら、その前向きな生き方に、心のなかで
 拍手した。