ラーメン&ドラゴン

 ちょっと用があって、急遽、実家のある松江
 に戻ることになった。
 
 4、5歳の頃に、ちょっと大きな交通事故を
 して、何ヶ月か、家で寝ていたことがあった。
 その後、松江日赤病院に通院していたはず
 なのだが、その地下にある食堂を、およそ
 40年ぶりにたずねてみたのだが、当時の
 面影のほとんど、そのまま残っていたのだ。
 ガラスケースのなかの蝋で出来たカレーライスは
 多分むかしのままだろう。
 中に入って、何を注文しようかと思ったが、 
 とりあえずメニューの一番上に書いてあった
 ラーメンを大盛り(450円)を頼んでみた。
 
 数分後に、ラーメン到着。あまり期待も
 せずに食べてみると、これがなんと実に
 おいしいのである。無論、本格ラーメン店
 のような勢いなどないのだが、だからこそ、
 落ち着いて、しみじみおいしいのである。
 
 そういえば、駅前にすごく有名なラーメンだけの
 お店があった。あまりに人気があって、あそこは
 ちょっとおかしな肉を使っているのではないかという
 根も葉もない、うわさを立てられるほどの、ちょっと
 した店だった。なんか、その店の味に似ていた。
 
 そういえば、どんぶりにあった龍のマークも、
 小学生の頃に食べたラーメンのどんぶりに
 そっくりだった。
 
 後で聞いたら、松江のなかでも知る人ぞ知る
 ラーメンだったらしい。それにしても、病院の
 ラーメンが評判の町って、どんな町だ。