中村圭介著「企業は『大騒ぎ』を利用してモードチェンジをしてきた」
海老原嗣生著 『雇用の常識「本当にみえるウソ」』プレジデント社、
2009年5月、42-43頁を読み、なるほどと唸る。
戦後、長期雇用・年功賃金の崩壊の大合唱が三度あったという。
1960年代の資本・貿易自由化、1975年のオイルショック以降の
低成長移行期、そして1990年代中盤以降のバブル崩壊期。
現在は15年後の第四の崩壊ブームかもしれない。
だが、結果的に日本的雇用システムは、そのたびにモードチェンジ
を繰り返しながら、生き残ってきた。いや、むしろ「崩壊」という大騒ぎ
を利用して、企業は根幹を維持しつつ、シフトチェンジを繰り返してきた
というのが、中村さんの見立てだ。とてもすぐれた指摘だと思う。
ブームとして、議論が消費されないためにも、歴史を踏まえた見解が
重要であることを改めて思う。