SNEP (7)

 金環日食の直後、
 ラジオをつけたら、
 ノラ・ジョーンズの
 サンライズが流れていた。 
 そのすぐ後に、
 キム・カーンズの
 ベティ・デービスの瞳が
 流れた。こっちの
 バカバカしい感じが
 好きだ。
 「みえた」「みえた」と
 盛んだったけれど、 
 不運にも雨や雲でみえなかった
 子どもたちもたくさんいることを
 考えると、自然や確率そのものに
 もう少し思いをはせるということでも
 よかったような気がするけど。
 ○
 スネップへのなりやすさについて
 思いがけない発見がありました。
 家庭の経済状況です。
 ニートの場合、バブル経済が大きく
 崩壊する以前の1990年代前半には
 経済的に余裕のある家庭の若者ほど
 ニートになりやすい傾向がありました。
 所得に余裕のある分、無理して働かなく
 てもよいと、本人も親も考えることが
 できました。これを経済学では、
 労働供給の所得効果と呼びます。
 それがバブル経済の崩壊と経済停滞の 
 長期化にあわせて、所得効果が弱まって 
 いきます。つまり、以前とは反対に、経済的に
 余裕のない家庭の若者が無業になったとき、
 もう仕事につくことの希望を持たなくなり、
 ニートになる確率が高くなっていたのです。
 
 経済的に貧しい場合ほど、進学をするのが
 難しかったり、仕事につくための情報やノウハウが
 得いにくいということがあったのかもしれません。
 このようにニートには、貧困問題が大きく影を
 落としていました。
 それに対して、スネップへのなりやすさの特徴の一つは、
 それが、家庭の収入とは基本的に無関係だということです。
 極端に所得の低い場合や所得の高い場合などをのぞき、
 どのような家庭からでもスネップ、つまりは孤立無業は
 発生していたのです。
 収入ではなく、家の広さ(部屋数)の関係もみてみましたが
 ごく平均的な部屋数の家から孤立無業が生まれる確率は
 一番高くなっていました。
 社会から孤立するということには、貧困問題だけでなく
 何か別の大きな力が働いているのかもしれません。最近
 中流の没落といったことがいわれたりしますが、案外
 誰でもスネップになるかもしれないということと
 どこかで関係しているのかもしれません。
 その何か別の力とは何か。
 データ分析だけではわからないものかもしれません。
 そこには、たとえば就職支援や若者の自立支援現場
 にいる人たちが、大事なヒントをつかんでいるような
 気がしています。