むかし、
奴隷制度があった頃
ある奴隷がこう言いました。
「ええ、たしかに私は
自分で選んで奴隷になったとも
言えますね。
奴隷になる以前の生活に比べれば
今のほうがずっとましです。
それに奴隷になってから辛くて
死にたいと思ったこともありましたが
死ぬよりは今のほうがまだいいと
思って、奴隷として生きることを
自分で選んだんです。
苦しいこともあるけれど
生きているだけ
今は幸せだと思っています。」
この話を聞いて
奴隷は自分から選んでなったのだし
今も奴隷生活を好きでやっているのだから
何の問題もないという人は
いるだろうか。
本人の選択や価値観がどうであろうと
奴隷制度を生み出した社会には望ましくない
変えていくべきだと考え、行動した人たちを私は
正しいと思う。
○
スネップについて話をさせていただくと
スネップだって自分で選択してなったんじゃないですか、
他人と交わるのが嫌いな人が好きでなっているんじゃないですか
といわれることがある。
ニートでも、同じようなことが
いわれた。
私は本人が選んだ結果だから、好きでやっている
ことだから、問題はないという立場には、極力立ちたくない
と思っている。
選択したか、そうでないかなど、
言葉のアヤでしかないことも多く、
スネップにせよ、ニートにせよ、
自分で選んだかどうかは問題ではない。
どういう理由にせよ、
もう簡単には抜け出せなくなっていることが
問題なのだ。
それに選択していたり、好きでやっているということと
大量にスネップを生み出している社会を疑うべき
ということは、まったくちがうことだとも思っている。