概ね安定もしくは小康状態にある12月の労働市場の動向のなかで、一部変化の兆しがみられるのが、休業者だ。
労働力調査では、12月は20日から26日の状況が調べられるが、この期間、休業者数は202万人(原数値)と、昨年8月以来、ふたたび200万人台となった。前月11月に比べて26万人増えたほか、前年同月より16万人多くなっている。
この状況は、今年に入って緊急事態宣言が出される前の状況だ。昨年は宣言前の3月時点で休業者は249万人となり(2月は196万人)、宣言期間中の4月には597万人と爆発的に増加した。今回の緊急事態宣言を踏まえ、休業を強いられることになった人がどのくらい増えたのか、1月の状況が注目される。
休業者の内訳をみると、就業者が伸び悩んでいる卸売・小売で18万人、飲食・サービスで12万人と予想通り多い。それに加えて製造業でも24万人、建設業で17万人と、休業者は多数発生しており、窮状を訴える声がいまだに多いこととも整合的である。
ただいずれの産業の休業者数も、前年同月に比べると、必ずしも突出して多くなっているわけではない。それでも今後、これらの休業者の実際の数値がどのように再び収束に向かっていくかは、特例措置などの是正のタイミングを定める上でも重要になっていくだろう。
ちなみに前回の緊急事態宣言時に、休業者とならんで急増した非労働力人口については、季節調整値でみても、全体的には増加傾向をまだ示していない。ただし65歳以上の非労働力人口に限ると、昨秋以来の感染拡大に並行して、前年同月に比べて増加する状況が続いている(原数値)。感染リスクを踏まえて働き止めをふたたび選択した高齢者が、今回の緊急事態宣言で増えているかも、来月確認すべきポイントの一つだろう。