『世界』10月号

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玄田 有史「70歳でも働く社会」『特集1 働き続ける私たち』 

日本における高齢期の就業と老後生活をめぐる課題と展望を論じたもの。老後に資産を蓄えるのは難しく、年金も将来不安が強い中、70代でも働き続けることが多くにとって現実的な選択肢になりつつあると指摘。2013年の高年齢者雇用安定法改正を契機に、60代から70代の就業率が大幅に上昇し、70歳以上でも継続雇用されている人が多いことが示される。これは昭和期に確立した日本的雇用慣行の残像とも関係する一方、就職氷河期世代以降は低賃金や短い勤続年数により将来の状況は厳しくなることが予想され、年金改革や社会保障拡充が課題となっている。今後は70歳までの就業確保を雇い主の「努力義務」から「義務」へと法律を改正し、定年制廃止も視野に入れ、誰もが希望すれば働き続けられる社会の構築が求められると結論。