■芹ゆう子によるラストメッセージほぼ全文

ニュースを読むアナウンサーに代わって、AIが登場したことは、この間もお話しましたが、ラジオのAIパーソナリティーもこれからどんどん出現することになるんじゃないかしら。アニメ『銀河鉄道999』のように、生身の人間と機械の人間が共存する世界ね。私がパーソナリティーをやっていて、いつも感じることはね、生身の人間は間違ったことや人の道に外れたことをすると、信用を失うでしょう。家族の生活や、自分のキャリアが真っ黒になっちゃう。そんな恐れがあるから、常に発言は慎重になるのよ。その“毒”の塩梅が、その人の力量ってことになるのね。

一方、AIパーソナリティーは、自分の信用を失う恐怖がないのよ。問題発言があって炎上すれば、また別のキャラクターになればいいんだから。なので、弱気な人間を尻目に、超強気なトークができるAIパーソナリティーがいつか登場するのよ。そして、歯切れのよさ、一切忖度のない本音の話に、中毒的なファンを獲得する。

そして、そのAIパーソナリティーが「私たちはとなりの国と戦った方がいい」と言い始め、ファンは何も疑わず、いつもの通り、付き従い、幸せを感じたまま戦いを始め、誰が作ったかもしれないAIのために、人々が命を奪い合う。そして、もう誰にも止められないのよ。生身の人間は純粋なのよ、やさしいから。他人は基本いい人だとデフォルトで思っているから、結局騙されることは生身の人間の必然なのよ。人間、騙されたと気づかずに全体が滅ぶ道を元気よく進むのよ。こんな話、SFみたいだと笑っちゃうわよね。

人に信頼されることが、人から頼られることが、生身の人間にとって一番幸せな感情だということは、芹もよくわかっています。ですから、みなさんからさまざまな信頼が寄せられたこと、本当にうれしく、愛おしく思っています。すばらしい仲間に恵まれたことは、芹にとって、何よりうれしかったことです。みなさんの未来を案じているのよ。半年間ありがとう。終わりにしましょう。