希望とは、その内容が具体的になればなるほど、
その実現の可能性は遠のいていく。だから、
本当の希望とは、必然的に挫折や失望が伴う。
その意味で、大盛希望は無料のような、要求すれば
必ず実現する希望とは、真の希望ではない。
希望の目的は、ほとんどの場合、実現しない一方で
希望を保有すること自体が、思考もしくは行動に
何らかの変化を引き起こし、結果的に、希望がなかった
場合には得られなかったであろう、より高次の
充足を実現することがあり得る。
希望は明確な内容であるほどその目的の実現から
遠のくが、希望は生きる上で高次の充足を獲得
するための重要な手段である。これが
希望のパラドックス(逆説)である。
コーネル大学で希望について研究している
文化人類学者の宮崎広和さんと7月1日に
お話をし、そんなことを確信した。
カテゴリー : 玄田日記
大盛希望の方は無料
希望とは、文字通り、希(まれ)にしか実現しないからこそ、希望だ。
だから、希望なんて意味がないと思うかもしれない。しかし、希望には
生きる活力を生み出す何かが、確実にある。そんな事実を証明したいと
思って、希望学を始めることにした。無謀だと言われたりもするが、
これは、私自身にとっての新たな挑戦だとも思ってる。
ニート!
今、いつも電車のなかは
村上龍さんの最新作「半島を出よ」。
面白いです。グイグイ引き込まれます。
○
新聞報道などでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、
結構、一所懸命、ニートの推計をしてみました。
内閣府のホームページに出ています。
http://www8.cao.go.jp/youth/kenkyu/shurou/chukan.pdf(PDFファイル)
ニートは金持ちの親が甘やかしてるからでしょうとか、
人手不足になったらニートもなくなるんでしょうとか、
誤解だってことがわかります。後、個人的には
ニートになった理由が「病気、けがのため」が急増して
いたのが、ショックでした。
これからもっとしっかり事実を見極めたいと思います。
○
それから「仕事のなかの曖昧」の文庫版が
明日くらいから本屋さんに並びます。
表紙はちょっとサザンみたいです。
解説は森永卓郎さんにお願いしたところ、とても
すばらしい、というか、身に余る文章をいただきました。
私も文庫版あとがきを書き加えました
(「その後の曖昧本」)。
よかったら読んでください。
○
花粉症の同胞の方々、お大事に。くるしいよね。
みち、道、途、路、青山
カワキタという男の小話。
キャリアとシゴトミチについて。
じゃん、じゃん。
○
白川静『漢字百話』に次のように
記されています。・・
道とは恐るべき字で、
異族の首を携えてゆくことを意味する。
..戦争などのために敵地に赴く軍を、
先導するときに用いられる。
そのとき異族の首を、
呪具としたのであろう。..
首を携えている形は導で、
これによって通行しうるものを道という。
・・道を存在への確認のしかた、
さらには実在そのものとする形而上学に
発展させたのは、荘周一派の哲学である。
なお途の方がいいかなと申しましたが、
行路の方がもっといいでありましょう。
旅路、って意味で
(貴族が旅先に泊まる宿が行宮、
旅先で使う灯火が行燈)。
仕事行路。これの方が語感がよろしい。
キャリア=暗夜行路。
○
というわけ。
キャリアって、きかれたら
それは、みち、だよ。
道、途、道、ミチ・・・
どの漢字かぁあ、
そりゃあ
純、
おまえ、
しだいだぁぁ(邦衛風)。
男と女のあいだには・・・
突然ですが、今日(5日)の朝日新聞の
土曜綴じ込み企画「be」の『読み解く』
というコーナーに、ゲンダ初の男女モノに
ついての文章を書きました。このコーナー
には昨年末からほぼ月一のペースで連載して
いるのです。
記事にも書きましたが、斎藤美奈子さんの
『モノは言いよう』(平凡社)に刺激されて
書きました。おもしろいです。ぜひ読んでみて
ください。
後、連載ということでは、『中央公論』の
「時評」というコーナーで一年の連載が
はじまっています。就業や労働の問題に
かぎらず、生活面全体ということで、
これまでは、教育や10代の性のこと
など、取り上げました。ちなみに
来週発売予定の今月号(4月号)の
テーマは、スピーチ。スピーチの
シーズンということなので。キーワードは
結結結結です。
それから『14歳の仕事道』、多くの
方からご意見などお寄せいただき、
ありがとうございます。概ねみなさん
から好評のようでちょっとうれしいです。
まあ、不評の場合には意見は届かない
ですが。ただ、仕事道の本が本屋さんでは
見つかりにくいそうなので、もしおたずねの
場合は「理論社の寄り道パンセのシリーズ
にある14歳のシゴトミチ」とおたずねください。
それから今月の25日に、なんと曖昧本の
文庫版が中公文庫から出ます。初の文庫で
こちらもちょっとうれしいです。森永卓郎
さんに解説をいただき、私も「その後の曖昧本」
という長い文庫版のあとがきを書きました。
よかったら読んでみてください。
今回は、ちょっと宣伝みたいになりました。
これからは近々の講演情報などもできるだけ
お伝えします。ちなみに明日日曜は横浜で
斎藤環さんと対談、それから立川で男女共同の
講演です。はったらきもの。
玄田 有史