『雇用は契約 雰囲気に負けない働き方』

働く現場では、様々なトラブルが日常的に発生しています。
長時間労働が慢性化している職場で、その原因を探ってみると、
「とても自分だけ帰れるような職場の雰囲気ではないから」とか
「他の人もそうだから仕方がない」といったことが
指摘されたりします。しかしながら、
労働時間をはじめとする基本的な労働条件は、
雰囲気や仕方がないといったことによって左右される
ものであっては本来ならないものです。

すべては雇用関係を取り決める際に交わされたはずの契約にしたがって
働くことが最優先されるべきです。
職場の和や協力が大事であるのは言うまでもありませんが、
それも約束した契約の内容が守られることが大前提です。
契約を超えた合意のない働き方は、
雇われて働く人の意思を無視した強制以外の何ものでもありません。

本書では、雇用は契約であるという原点に立ち返ることで、
働く社会に起こっている現実を見つめ直してみます。
特に雇用契約のうち、本書の中心となるのは「契約期間」です。
契約期間を軸に、働く環境とその変化を考えていきます。

『雇用は契約 雰囲気に負けない働き方』(筑摩選書「はじめに」より抜粋)
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