全所

本日、所属する社会科学研究所の次期全所的プロジェクトの提案があった。詳細はまだ発表できないが、とても魅力的な内容となっている。

ぜひご期待いただければと思う。

売上

今日は、雇用問題についての研究会に参加。いろいろ学ぶところが多かったが、特に印象的だったのは、フリーランスについての結果。

コロナ感染直前に比較した今年7月分の売上高の変化を調べたところ、半分未満に減ったという、フリーランスが17%あった一方、実のところ、売り上げは減らなかった、もしくはむしろ増えた、というフリーランスが36%と、上回っていたということだった。報告者は、売り上げの減少のほうを強調していたが、聞いていて不変や増加の多さに個人的には驚いた。

いったいどんなフリーランスが、たくましく売上を挙げてきたのだろう。その内実を調べてみると、危機対応そのもののヒントが見つかるかもしれない気がした。

発言

何年かぶりにA.O.ハーシュマン『離脱・発言・忠誠』(ミネルヴァ書房、矢野修一訳)を読み返す。https://www.minervashobo.co.jp/book/b48969.html

まだやり直しの可能な衰退から立ち直る「きっかけ」としては、離脱の発生への対処だけではなく、発言の機会が重要であること、さらにそのためには離脱と発言の組み合わせが大切になるが、最適な(普遍的な)組み合わせがあるわけではないことなど、改めて深く感じ入る。

2000年代以降も、離脱の環境整備を求める声は多いものの、「状況によっては発言が有効な回復メカニズムとして機能しうること」「発言は適切な制度でもって強化する価値のあること」(136頁)に共感が広がらないのは、なぜだろう。離脱の圧力が生み出す「緊張状態」とならんで、「スラックが重要であり」(14頁)、発言を可能とするスラック(緩み)がたえず生み出され続けていることの大切さが、ヒントなのかもしれないと思う。

それにしても、本書所収の矢野修一さんの「訳者補説「可能性追及」と「越境」の日々―ハーシュマンの激動の人生」は実に秀逸であり、再び感動をおぼえる。いつまでの色褪せない訳者の思いが垣間見られ、ぜひご一読をお薦めしたい。

「離脱には、でるか否かのはっきりとした意思決定以外に何も必要ではないが、発言は、その本質上、常に新たな方向へ進化していく一つの技芸(アート)である。」(46頁)