前回、孤立状態にあることは
仕事に就こうとする活動(求職・学習)や
そもそも働こうという希望を抑制する
ことにつながると述べました。
だとすれば、その理由は何なのでしょうか。
友人や知人と日常的につながりがある
ことは、良い就職先を知っている友人から
仕事の紹介を受けられるという面もある
かもしれません。いわゆる「コネ」もしくは
「人脈」ということになると思うのですが、
いずれにせよ、知り合いからの情報提供が
大事だということになります。
しかし、私は知人や友人とのつながりは、
もっと大事な役割を果たしているのではないか
と思います。それは「気づき」です。
たとえばインターネットを積極的に活用できる
環境にあることは、就職活動をも積極化する
ようです。ただ、その内容を見てみると、いわゆる
情報の検索や収集だけではあまり効果がないように
見受けられます。むしろ大事なのは、友人との電子
メールや携帯メールを通じた具体的な情報交換です。
それは、単に情報提供というだけでなく、自分自身が
どうしていくべきか、何をすればよいかという気づきを
与えてくれるのではないでしょうか。
情報は既にたくさんあります。むしろその膨大な情報から
自分なりの決断をするための後押しをしてくれるのが
友人や知人とのつながりであるように思います。
スネップ、特に家族型のスネップは、家族との結びつき
はあります。それは安心を与えてくれる強い絆であることも
多いでしょう。しかし、そんな強い絆を持つことの多い
家族型の孤立無業ほど、仕事に就くことに積極的で
ないという事実は示唆的です。
むしろ自分と違う世界を知っていたり、経験したりしている
友人や知人とのつながりが、仕事にまつわる気づきや
決断を促してくれる。これまでもたびたび強調してきた
緩やかな絆、すなわちウィークタイズの重要性が
ここでも浮かび上がってくるのです。
震災後、絆の大切さが、多くで語られています。私も
そう思います。ただ、家族との強い絆だけでなく、
もっと広くて緩やかな絆を広げていくことが
希望を生むのだと確信しています、