親の不安と大学生の働き止め

働き止めの根本にあるのは、感染への不安であり、今回の感染拡大が労働市場にもたらした特異な状況であることを述べてきた。感染不安は、働く本人が感染を恐れたり、同居する高齢の親への感染を恐れたりする結果、働くのを断念せさせてきたことも指摘してきた。

また別の働き止めとして、在学中の子どもが飲食店などでのアルバイト先で感染することを恐れて、働くことを止めるよう、親が強く説得した結果でもあるかもしれない。大学生などがアルバイトできなくなったのは、バイト先の飲食店などの経営上の都合もさることながら、親が子どもに「危ないからバイトはやめて」と強く求めたため、バイトをやめざるを得なかったことも多いのではないか。

総務省統計局「労働力調査」によれば、15~24歳の在学中のパート・アルバイト数は、2020年には177万人と、前年より10万人減少した。4半期別では、20年7~9月には、前年同期より23万人と大きく減り込むかたちとなった。それらの背後には、店側の都合による雇い止めだけでなく、親の思いによる働き止めも影を落としていたのかもしれない。