東大社研DP_J-153

東京大学社会科学研究所
ディスカッションペーパーシリーズJ-153
「若年無業の再検討」(玄田有史, 2006年9月)
 
http://jww.iss.u-tokyo.ac.jp/publishments/dp/dpj/
要約
本論文は就業構造基本調査の個票データを用いて、若年無業の決定要因を実証分析した。学生と有配偶を除いた15~34歳の無業者を、求職活動をしている求職型、就業希望を表明しながら求職活動をしていない非求職型、就職希望を表明していない非希望型に類型化し、それぞれの決定要因を多項ロジットモデルによって分析した。その結果、年長、女性、低学歴、長期失業といった、就業に伴う期待収益率が低いグループほど、就業を断念する傾向は強いことが確認された。さらに単身世帯と母子世帯を除く無業者に限定すると、高所得世帯に属する若年無業ほど非希望型になりやすいことも発見された。ただし、非求職型ならびに非希望型に占める低所得世帯の割合は増えつつあり、高所得世帯ほど非希望型になりやすいという所得効果が弱まる傾向も観察された。