JILPTについてご報告です。

JILPTの存続を求める研究者の会
ご賛同いただいたみなさまへのご報告
12月24日午前に行われた閣議において、
独立行政法人の見直しのなか、
労働政策研究・研修機構(JILPT)については
廃止および統合をいずれも行わず、
存続が決定された模様です。
9月末以降、突然、JILPTの廃止が
報道されて以来、多くの懸念を抱きながら
独法見直しの動きを注視してきました。
そのなかで、11月初旬、JILPTの廃止が
きわめて現実味を帯びているという情勢にある
ことを知りました。同時に、その存在の社会的
意義が十分に理解および議論がなされないまま、
財政支出削減の名のもと、廃止計画だけが
既定事実の如く進行している状況に、
強い危機感を持ちました。
そこで、最終的に54名の労働研究者の方々に、
呼びかけ人として参加いただき、JILPTの存続を
求める研究者の会を独自に立ち上げ、要望文を
作成いたしました。要望に対し、賛同を広くお願い
したところ、日本内外の多くの方々から、賛意の署名
をいただくことができました。
要望文は、賛同の署名リストを添え、
首相、官房長官、官房副長官、厚生労働大臣、
行政改革担当大臣、政府行革本部等の他、
自民党行政改革推進本部関係の有力議員、
行政減量・効率化有識者会議の有識者、専門委員
の方々等にお送り致しました。要望については
厚生労働省の記者クラブにおいて記者会見も
行いました。
呼びかけ人の方のなかには、
新聞や雑誌等に、JILPTが存続すべき理由について、
ご寄稿いただいた方も複数いらっしゃいました。
また直接、行革大臣を含む関係者に、要望の趣旨を
直接もしくはメール等でご説明いただいた方も、
いらっしゃいました。
嬉しいことに、会事務局のもとには、これらの働きかけが
JILPTの存続決定に少なからず効果があったとの情報を
得ておりました。実際、厚生労働大臣は、折衝の場で、
学者や研究者等から強い要望が届いているということを、
折に触れて説明されていたようです。
これらもひとえに存続要望に呼びかけ人および署名者として
ご賛同いただいた皆様のご協力の賜物と考えます。
賛同署名は、12月24日現在、日本内外から749名の
方々から頂戴しました。署名に付されたJILPTの改善
提案については、責任をもってJILPTの理事長および
執行部に伝えます。
皆様から寄せられた期待を受けて、
JILPTが今後、労働研究の公器として、
発展していくことを願ってやみません。
一方で、歴史ある研究機関である、国立国語研究所
の他機関への移管が決定されるなど、研究そのものの
社会的意義に対する認識には、深刻な財政状況のなか、
依然として厳しい環境が予想されます。
その意味でも、労働研究の公的機関の今後のあり方を
これからも見守り続けることが必要に思います。
改めまして、今回のご協力、ありがとうございました。
JILPTの存続を求める研究者の会・事務局
仁田 道夫・玄田 有史
呼びかけ人(順不同):
仁田道夫(東京大学社会科学研究所教授)、佐藤博樹(東京大学社会科学研究所教授)、玄田有史(東京大学社会科学研究所教授)、清家篤(慶應義塾大学商学部教授)、中村圭介(東京大学社会科学研究所教授)、山川隆一(慶應義塾大学法科大学院教授)、守島基博(一橋大学大学院商学研究科教授)、荒木尚志(東京大学大学院法学政治学研究科教授)、大竹文雄(大阪大学社会経済研究所教授)、中村二朗(日本大学大学院総合科学研究科教授)、石田浩(東京大学社会科学研究所教授)、藤村博之(法政大学経営学大学院教授)、ロナルド・ドーア(ロンドン大学経済パーフォーマンス研究所名誉研究員)、島田晴雄(千葉商科大学学長)、佐藤厚(同志社大学大学院総合政策科学研究科教授)、諏訪康雄(法政大学大学院政策科学研究科教授)、尾高煌之助(一橋大学・法政大学名誉教授)、武石恵美子(法政大学キャリアデザイン学部教授)、大沢真知子(日本女子大学人間社会学部教授)、末廣啓子(宇都宮大学キャリア教育・就職支援センター教授)、石田光男(同志社大学社会学部教授)、トーマス・コーハン(マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院教授)、樋口美雄(慶應義塾大学商学部教授)、荻野勝彦(トヨタ自動車(株)人事部担当部長)、メアリー・ブリントン(ハーヴァード大学ライシャワー研究所教授)、今野浩一郎(学習院大学経済学部教授)、脇坂明(学習院大学経済学部教授)、太田聰一(慶應義塾大学経済学部教授)、永瀬伸子(お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科教授)、中田喜文(同志社大学技術・企業・国際競争力センター教授)、大橋勇雄(一橋大学大学院経済学研究科教授)、小池和男(法政大学名誉教授)、猪木武徳(国際日本文化研究センター教授)、三谷直紀(神戸大学大学院経済学研究科教授)、ダニエル・フット(東京大学大学院法学政治学研究科教授)、佐藤嘉倫(東北大学大学院文学研究科教授)、耳塚寛明(お茶ノの水女子大学人間文化創成科学研究科教授)、冨田安信(同志社大学社会学部教授)、藤田英典(国際基督教大学大学院教育学研究科教授)、白波瀬佐和子(東京大学大学院人文社会系研究科准教授)、広田照幸(日本大学文理学部教授)、岩村正彦(東京大学大学院法学政治学研究科教授)、サンフォード・ジャコビー(UCLAアンダーソンマネージメントスクール教授)、苅谷剛彦(東京大学大学院教育学研究科教授)、篠塚英子(お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科教授)、久本憲夫(京都大学大学院経済学研究科教授)、マーカス・レビック(オックスフォード大学ニッサン日本研究所大学講師)、橘木俊詔(同志社大学経済学部教授)、ジョージ・オルコット(ケンブリッジ大学ジャッジビジネススクール・ティーチングフェロー)、星岳雄(カリフォルニア大学サンディエゴ校国際関係太平洋研究大学院教授) キム・ジュンキュン(韓国成長研究所部長)、リチャード・フリーマン(ハーヴァード大学経済学部教授)、スティーブン・ヴォーゲル(カリフォルニア大学バークレイ校教授)、ジェニー・コルベット(オーストラリア国立大学オーストラリア日本研究センター教授)以上54名
賛同署名:
12月24日現在、570名(日本語)、179名(英語)、計749名

Dear friends and colleagues,
Thank you very much for your support to our effort to rescue JILPT, Japanese Institute for Labor Policy and Training. We are delighted to report to all of you that the Japanese Government decided neither to close JILPT nor to merge it with another organization on December 24. It will restructure some of the training activities but the main part of the research activities will be kept as it is.
We believe that this is a major victory for all of us because there was a media report that Administrative Reform Promotion group in the government kept a stiff stance to abolish JILPT in the draft report issued in late November. After several negotiations between the Minister of Administrative Reform and Minister of Health, Labor and Welfare, it was agreed that JILPT should keep its research functions. We have heard that Mr. Masuzoe, the Minister of Health, Labor and Welfare, kept saying ‘JILPT is a very good research institute. My former fellow academics in Japan and in the world strongly support it.’ He once was an associate professor of international relations at the University of Tokyo. Clearly, our message with support signature of nearly 800, gave him a strong basis for his argument
Our impression is that the Japanese Government still is not quite sympathetic to public research institutes. It decided today that the National Institute of Japanese Language will be transferred into another organization. We need to keep our eye on the Administrative Reform by the Japanese Government, which is the combination of neo-liberal ideology and budget cut without a sense of reason.
But let us congratulate ourselves for a rare success of a rescue operation in the midst of Administrative Reform storm.
We wish you a very pleasant holiday season,
Best regards,
Michio Nitta and Yuji Genda