木を見て森を見ず

 11月の完全失業率が発表になった。
 率にして3.9パーセント(季節調整値)、
 人数は256万人にのぼっている。
 完全失業者には、仕事を探すことを 
 断念している無業者は含まれない。また
 住所が不定の無業者も調査は実際難しい 
 だろう。その意味で仕事がないことの実際は
 数字以上に深刻な可能性もある。
 ただ、その一方で、現在の労働力統計が 
 整備されて以来、完全失業者数が最多
 であったのは、不良債権処理が急がれ、
 希望退職が増加、新卒採用も氷河期の
 真っ只中にあった、2002年3月の379万人
 である。直近よりも120万人(原数)以上多い。
 完全失業率のこれまでで最も高かったのは
 2003年3月の5.5パーセント(季節調整値)
 である。
 雇用が深刻化していることは間違いない。
 今後情勢がすぐさま改善するという予想も
 立てにくい。だが、少なからず、現段階までの
 議論には 「つくられた雇用パニック」の部分も
 あるかもしれない。
 重要なのは、一つの角度だけで一喜一憂するので
 なく、広く事実を見極めようとすることに思う。