本当のミスマッチ

 非正規雇用からの失業者に対する
 ミスマッチ対策について、昨日の答えに
 違和感をおぼえる人もいるかもしれない。
 おそらく通常のコメントは次のような
 感じではないか。
 
 「これからは介護などの人手不足分野
 への移動を促進することが必要です。
 そのためスキルのミスマッチの解消が
 重要であり、能力開発に、政府も積極的に
 取り組むべきです。」
 概ねそのようなコメントに反対はない。
 政府も実際には緊急の能力開発に向けた
 助成措置の拡充に走り始めているようだ。
 介護や医療など人手不足の生活密着分野
 への移動が、今回を契機に促進されれば
 それに越したことはないと思う。
 今朝のヤフーニュースにあった、雇用対策として
 振り込め詐欺の注意をする超えかけ人員確保
 というのは、ちょっとびっくりしたが。
 ただスキルのミスマッチが深刻であることは
 いうまでもないが、統計からはスキルのミスマッチや
 年齢によるミスマッチ以上に深刻なものがある。
 これも以前『ジョブ・クリエイション』で指摘したことでも 
 あるのだけれど、それは「希望のミスマッチ」である。
 『労働力調査詳細結果』をみても、数こそピークより減少
 傾向にあるものの、以前として仕事につけない理由として
 最大は「希望する仕事の種類・内容がない」である。http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/zuhyou/901700.xls
 やや手前味噌に聞こえるかもしれず恐縮なのだが、
 希望の問題と雇用問題は、密接に結びついている。
 希望する仕事がないとはどういうことなのか、
 どうすれば希望がみつかるのか、すぐにみつからないとき
 どうすればよいのかなどが、わからなければ、
 本当のミスマッチは、解消されない。私はそう思う。
 介護分野への移動促進についても、ただ就けばよいという
 わけでは無論ない。本当の意味で、納得し、そこに希望を
 もてるようなならなければ、いったん就業しても定着は困難
 だろうし、第一、仕事に誇りも感じられないのではないか。
 希望は、支えとなる人間があって育まれることも多い。
 それが希望学の一つのメッセージでもある。
 そう考えて、昨日のような、とにかく孤独にしない個別支援 
 という、ミスマッチ対策を思いついた次第である。