今年も折り返し。前半はいうまでもなく
希望学全四巻の刊行にもっとも時間と
エネルギーを費やしたけれど、同時に
本職の労働問題もやらなくちゃね、と
いつも思ってきた。
昨年は一年を通じて、非正規雇用の
問題、特にどうすれば、正社員化など
状況の改善が可能なのかをデータから
考えてみた。なんとか、自分のなかでは
非正規雇用三部作が完成。
今年の自分のテーマは長時間労働。
まず就業構造基本調査を使って1990年代
から2000年代初頭にかけて長時間労働が
増加した背景を、これまでと別の観点から
明らかにしたいと思って書いてきたのが、
「分配問題としての長時間労働:「即戦力」志向の背後で」
この時期、長時間労働は30歳代から40歳代前半で特に
増えていたことは、以前から指摘されていた。それに対して
この論文の特徴は、長時間労働が、男性正社員のうち
入社後まもない短期勤続層のあいだで急速に広がっていったことを
指摘した。新卒や転職者が、入社してすぐの業務が当時
増えたことで、それをきっかけに時間的・肉体的負担から
辞職を望むケースが増えたり、辞めないまでも労働時間の
短縮を望むケースが明らかに増えていた。
失われた10年と呼ばれた時期、正社員採用の採用条件として
「即戦力」がしばしばいわれた。上記の結果は
即戦力とは、結局、入社直後から長時間労働の
負荷を担う人への選別が強まったことを意味して
いたのだろうと、結論している。
詳細について、ご関心の方は
http://www.ier.hit-u.ac.jp/pie/stage2/Japanese/d_p/2009.html
をご参照ください。
後半はまた別のテーマで長時間労働を考えます。