銭湯はエコだっ、というハナシ

 友だちの児玉直美さん(経済産業省勤務)から
 聞いた話。
 ちょっとむずかしいですが、要は銭湯は環境に
 良いそうな、ということで。ご本人曰く
 「大家族で暮らす、内風呂のない、
  昔の日本の生活は、エネルギー消費の観点からは
  良い暮らしでした。非婚化、晩婚化、高齢化・・・
  エネルギー消費からも世相が透けてみえます」。
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 人気の銭湯ブログ。
 http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/
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 家庭部門のエネルギー消費量
 (家庭で使われているエネルギーで、自家用車は含まない)は、
 用途別で見ると、
 暖房用 25.0%
 冷房用 2.6%
 給湯用 29.9%
 厨房用 7.8%
 動力他 34.7%(電灯、テレビ等コンセント経由の電力)
 です
 (出所は、
 財団法人省エネルギーセンター(2009),
 「エネルギー・経済統計要覧’09」,
 日本エネルギー経済研究所計量分析ユニット編)。
 日本全体、年間通してみると、冷房用はわずか2.6%に過ぎず、
 一般に思われているよりも非常に少ない量です
 (仮に非常に我慢して冷房用エネルギーを1割減らしても、
 0.26%しか減りません)。
 一方、給湯用(お風呂、台所等の温水)は、
 家庭で使われるエネルギーの3割を占めます。
 つまり、(非常に粗い試算でありますが)、日本の全家庭で、
 1週間に1回お風呂をやめると、30%/7=4%程度、
 家庭部門のエネルギー消費量を削減することができます。
 一方、2008年度の温室効果ガスの総排出量
 (各温室効果ガスの排出量に地球温暖化係数[GWP(注1)]を乗じ、
 それらを合算したもの)は、12億8,600万トン(二酸化炭素換算)、
 そのうち、エネルギー起源CO2は11億3800万トンです。
 家庭部門のエネルギー消費量は、そのうち14%を占めます。
 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg/2008sokuho.pdf
 
 仮に、家庭部門で4%エネルギーを削減することができると、
 日本全体のエネルギーは、14%×4%=0.6%エネルギー消費量を
 削減することができます。
 都市ガスの給湯器で、300Lのお風呂に40度のお湯を満タンにためると、
 例えば、冬であれば水道水10度から40度まで温度を上げなければ
 なりませんから、
 300L×(40-10℃)=9000kcal=1.9kg-CO2
 (都市ガスでお湯を沸かす場合には、都市ガスの排出係数は
 2.09kg-CO2/10^4kcalです。
 LPGですと都市ガスの1.25倍、
 灯油ですと都市ガスの1.5倍程度の排出係数)
 2,3年前に、環境省が「1人1日1kg」(CO2を削減しよう)
 というキャンペーンを行っていましたが、家庭部門の総排出量を
 総人口で割った単純平均では、日本人の家庭でのエネルギー消費量は
 1日当たり3.5kgです。
 
 つまり、「1人1日1kg」削減は、28%削減相当であり、
 お風呂を週1回やめた程度では達成できません。
 家庭部門のエネルギー消費量は、1990年度に比べると、
 2008年度は+34.7%となっています。その増加の多くは、
 単身世帯の増加によるものです。
 給湯用エネルギーを減らすためには、追い炊きをしない、
 湯張りをせずにシャワーで済ます、銭湯に行く等の努力が肝要です。
 家庭の省エネは、我慢した割には、エネルギー消費量、
 エネルギー消費金額が減らないことで疲れて挫折する人が多いです。
 正しい知識を持って、努力の意味がある省エネをすることが、
 日本のエネルギー消費量を減らすことに繋がります。