野原君

 これから野原君を偲ぶ会にいってくる。
 野原君は、NECに勤めていたが、シリコンバレーに
 単身赴任、来月にようやく日本に帰国というとき、
 アメリカの山で登山中に滑落、還らぬ人となった。
 いっしょにこれからの人事を勉強していた仲間だった。
 呑んでから電車でいっしょに帰るとき、野原君の声が
 大きくて電車内に響くので、こまった。でも、すごくいいやつ
 だった。
 シリコンバレーで働きはじめたとき、「ここでは何でも
 個人の責任と自由でやっていい。でも、誰かになにかして
 もらったら、サンキューだけはいってほしい。それだけが
 ルール。」といわれたという話をしてくれた。
 野原君の分も、今日はみんなで呑もうと思う。