震災と雇用(2)

前回、被災地の人々が
ニート化しているわけではない
と述べた。
それは原発事故でたいへんな
思いをしている福島の人たちも
同じだ。
やはり20~59歳の無業者のうち、
働きたいとは思っているが求職活動
はしていない、もしくは
働きたいと思っていない人々の割合は
岩手が73.1%
宮城が71.0%
なのに対し、
福島は74.3%
である。
たしかに福島は若干高いけれども
明確な差ではない。全国平均に比べれば
まだ低いほうの部類に入っている。
男性無業者に限ってみても、
福島は57.0%であり、
岩手の56.5%、宮城の52.1%と比べて
それほどの差ではない。
原発事故による賠償金の問題が
福島の人たちの働く意欲や活動を
阻害しているのではないかという
指摘もある。
しかし統計をみるかぎり
福島の人たちだけが特段に働くことを
望んでいないとはいえないことがわかる。
給付や手当などがあって日々
パチンコなどで一日を持て余している
人が被災地にも少なくないという話も
聞くことがある。
しかし、そのような人たちがいた
としても、それが全体もそうであるように
決めつけることは妥当ではない。
特に異常事態や緊急事態では、
特異な状況があたかも全体的に
そうであるかのように流布する
ことがある。
情報が錯綜しているからだ。
統計は冷静に現実を見据えることの
大切さをあらためておしえてくれる。