ある研究会に参加、
介護の現状について
いろいろと学ぶ。
介護といえば
離職率の高さが
有名だ。
しかし介護労働安定センターが
実施した調査によれば
介護職員の離職率は着実に低下
しているのも事実だ。
2007年度には21.6%だった離職率は
2013年度では16.6%まで低下している。
厚生労働省の実施している雇用動向調査による
産業計での離職率は13年度が15.6%であり、
実のところ1%ポイントの違いしかない。
もっといえば雇用動向調査は
常用労働者5人以上の事業所が調査対象で
大規模事業書も少なからず含まれているのに対し、
介護事業所は1割弱が4人以下で、ほとんどが
100人未満の小規模事業だ。
そうなると、事業の規模を同じにして
(たとえば5人以上99人の事業所だけに限定)
比較すると、案外、介護職員だけが抜きん出て
離職しやすいということもないのかもしれず、
イメージの「刷り込み」や思い込みにすぎない
可能性もあるのだ。
それはいいかえれば
介護の雇用問題というのは
小規模事業所に特有の問題かもしれないと
いうことだ。
介護事業は
介護サービスに対するニーズの大きさと
設備投資などの負担が比較的小さいことから
介護事業には多くの小規模事業者が参入しやすい
産業構造が特徴だ。
そのために介護職員を適切に処遇するための知識や
経験を持たないまま、事業を続けている場合も少なくない
かもしれない。介護は賃金の低さが指摘されるが、
昇給や昇進などの仕組みも持たないことも考えられる。
実際、介護労働安定センターが実施した
「介護労働実態調査」によれば、
介護事業所で雇用管理責任者を選任している事業所は
せいぜい半分程度にしかすぎない。
推論の域にすぎないが、
同じ介護でも
雇用管理責任者がいる事業所と
そうでない事業所では
離職率、平均賃金、昇給の有無、仕事満足度など
は異なっているのではないか。
建設業では昭和51年(1976年)に
建設雇用改善法が施行され、
第5条で「事業主は、 建設事業を行う事業所ごとに(中略)、
雇用管理責任者を選任しなければならない」と 定められている。
高齢社会のなかで
介護産業はこれからも成長産業として
着実に発展していく必要がある。
そのためには
建設業に学びつつ
「介護雇用健全法」(仮称)により、
雇用管理に適切な知識を持つ
雇用管理責任者の選任を義務付ける
法的措置は必要なのではないか。
それがなければ、
介護職員の賃上げも
スムーズに進まないおそれもある。
雇用管理責任者の義務化は
介護事業者の負担を増し、
介護サービスの不足に拍車をかける
という反対意見もあるだろう。
しかし中長期的にみると
介護に有為な人材が集まるためには
介護事業の雇用管理の整備は
不可欠な課題であることは間違いない。
十分検討に値すると思うのだが
関係者の方々はいかがお考えだろうか。