2020年7月の労働市場(2)

今回も
総務省統計局「労働力調査」から
前月から今月にかけての移動状況を
見ておく。

6月の就業者のうち、
7月は完全失業者または非労働力人口に
移行した割合は1.6%と、
5月から6月の1.4%、4月から5月の1.6%
とほぼ変わりなく安定していた。
就業者を非正規雇用に限っても
3%前後とほぼ変わらない。

6月に非正規雇用だった人々のうち、
7月には内部昇進や転職などによって
正規雇用になった割合は
今月も3.0%と、
前回の3.3%、前回の2.8%と
同程度であった
(数にすれば50~60万人程度が今も
毎月非正規から正規に移行している計算になる)。

6月に完全失業者だった人々のうち、
7月に就業者に移行したのは
13.6%に達し、
前回の11.5%、前々回の11.7%よりも
持ち直し気味に推移している。

昨日の夕刊などでも
「雇用悪化続く」という文字をみかけたが
見方を変えると、経済全体では
驚くほど4月以降の就業動向は安定している
といえる面が少なくないことは指摘しておきたい。

同時に、働き止めで非労働力化した人々が
就業に復帰する動きも段々と収束しつつある。
6月の非労働力人口のうち
7月に就業者となったのは1.9%であり、
前回調査の2.3%、前々回の2.4%から
ゆるやかに縮小が続いている。

ただし、休業者については、
ほぼ感染拡大前の水準に戻ったが
従業者に復帰する割合は徐々に
減り始め、失業もしくは非労働力の
無業状態に移行する割合が増えている
ことには要注意だろう。
具体的には
4月から5月には6.6%だったのが
5月から6月には7.2%に上昇、
6月から7月にかけては
12.5%へと跳ね上がっている。

感染拡大後、休業を続けていた人のうち
どうにも仕事を再開できなかった人々が
7月に来て仕事を失う状況が強まっている
のもまた事実である。

就業全体は比較的落ち着きを見せるなかで、
これまで休業していた人々に対しての
支援が急がれる。

全体でみれば安定していることと
そのなかで一部の人々が
たいへんな思いをしていることは
矛盾しない。