本日、2020年10月分の総務省統計局「労働力調査」、厚生労働省「職業安定業務統計」の集計結果が発表。
失業の持続的な増加が見られ、完全失業者数215万人(原数値)は、過去7年の平均に比べて14万人増と、先月とあわせて2ヵ月連続のプラスとなった。もはや日本は低失業の状況にあるとはいえず、失業対策をより重点的に行う必要が生じているといえる。
一方で、11月以降の感染拡大を前にしてか、失業以外の労働市場全般の動向は、おしなべて大きな変化は観察されていない。好調だった前年との差でみると、非正規雇用は依然として大きく減少しているが、過去7年平均との比較では55万人の増加となるなど、回復の兆しがみられる面もある。
正規雇用は前月若干のかげりがみられたが、今月は全体としてはふたたび安定状態を今のところ保っている。
感染のおそれなどから労働市場から退出する人が増えたことで増加していた非労働力人口も、感染拡大前の水準にほぼ戻りつつある。休業と時間短縮による緊急の雇用調整もほぼ収束したといえる。ただし、非労働力人口については、感染拡大前に明確な強い減少トレンドが存在したことを考えると、感染がなければ労働市場に参画したであろう人々の少なくない部分が未だ働くことを躊躇断念しているともいえなくない。9月に非労働力人口であったのが10月に就業者に転じた人は77万人に達するが、反対に就業者から非労働力人口に転じた人も76万人と、同程度にのぼっている。
11月以降の感染拡大と都市部などの営業短縮などが、雇用がもたらす影響には一定の時間差が考えられるが、職安統計でも新規求人が依然として昨年の90万件台より20万件以上少ないことなどを踏まえると、今後失業がどこまで悪化するかは予断を許さないだろう。
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