70歳以上の労働市場

https://www.mof.go.jp/pri/publication/financial_review/fr_list9/r161/r161_8.pdf

本稿は,今後も拡大が見込まれ,生産年齢人口の減少を補い,経済全体に影響を及ぼすのが必至である70 歳以上の労働市場について,総務省統計局「就業構造基本調査」(2022年)の特別集計により基本事実を明らかにする。集計からは70 歳以上の就業者の約7 割,さらには非農林水産業雇用者の過半数は,65 歳時の就業を継続していた。65 歳時の継続雇用者は,66 歳以降の新規雇用者に比べ,学歴や性別を問わず,第二次産業・小規模企業等の事業主の要請を受けて正社員として働き続け,年間の所得と就業日数も多くなっている状況等が観察された。その結果は,企業特殊的熟練の活用や労使間での情報の非対称性の緩和といった旧来の日本的雇用システムの持続的影響と合致している。就職氷河期世代以降の低賃金が改善されない現状や将来を踏まえた政策として,70 歳までの就業確保措置を義務化する高年齢者雇用安定法の将来的な改正が,生活の改善に寄与する可能性も示唆された。