就業者ベース「働き止め(ステイホーム無業者)」

新型コロナ感染症による
感染リスクから働くことを断念している
「働き止め」または「ステイホーム無業者」(著者命名)
を、就業者ベースで再計算してみた。

その際、感染拡大がなかった場合の
就業者数の予測は、
有効求人倍率が1倍を超えた
2013年11月からトレンドが発生した
と仮定して計算した。尚、先の
非労働力人口をベースにした働き止めの数は
時系列の推移から2015年4月にトレンドが
発生していたと仮定して計算したもの。

その結果、就業者数ベースでの
働き止め(ステイホーム無業者)の数は
最新の2020年12月時点で118万人と、
やはり100万人を超える規模になった。

昨年緊急事態宣言が発出した
2020年4月時点では139万人だったが、
かなりの働き止めが現在も維持されている
ことが予想される。

就業者ベースの働き止めには、職を探している
人々も含まれるが、それでも感染リスクが
多くの就業実現を阻んでいることは、
このような試算からも理解できる。

まずは感染終息が、経済再開のためにも
優先されることの必要性がここからも示唆されるだろう。

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就業

要望を踏まえ、
2020年12月時点の
働き止めを再度試算。

感染不安などから
仕事を離れ、
職探しを中断している
非労働力ベースの
働き止めが59万人。

感染リスクを意識しながら
職探しはしている
完全失業者ベースの
働き止めが89万人
という計算になった。

いずれも幅を持ってみる必要が
あるが、それでも今回は
感染がなければ順調に増えていたはずの
就業者数がそのトレンド(2015年4月からを仮定)
から乖離したままという意味での働き止めが
2020年12月時点でも148万人に達し、
2020年4月時点の162万人と大きく変わらない
状態ともいえるだろう。

ただ「働き止め」の認識が広がらないのは、
やはりそのネーミングに問題があったのかもしれない。

働き止めを
別の言い方にすれば
コロナ感染による「ステイホーム無業者」
とでもいえる。

感染がなければ仕事をしていた
可能性が高い一方、
感染のリスクから働きたくても
働けず、職が決まらないまま仕事に
就けていない人といえる。

2020年12月最新時点でも
少なく見積もって
ステイホーム無業者は59万人、
多く見積もると、その2.5倍の
148万人という試算結果になる。



「働き止め」の状況

報道では、会社が解雇をしたり、期間満了で雇用契約したりして、雇用を減らそうとする「雇い止め」という言葉が頻繁に使われている。同時に一方で、感染のリスクなどをおそれた労働者自身が働くことを断念し、統計用語でいうところの「非労働力人口」(15歳以上人口のうち、就業者と完全失業者以外の人々)の増えたことこそが、むしろ今回の感染拡大の特徴と、ここでも再三述べてきた。

その状況は、企業による「雇い止め」というよりは、労働者本人による「働き止め」のほうがより正確と思われる。ただし働き止めという視点は、今もまったく共有されていない。

ちなみに2015年4月から2020年3月までの非労働力人口(季節調整値)の推移に基づき、働き止めを試算すると、その数は緊急事態宣言が出た20年4月には129万人に達した。その後、働き止めの数は徐々に減少してきたが、最新の20年12月でも59万人が依然となり、4月時点の46%が残っている計算になる。

気になるのは、高齢者の働き止めが、12月の感染の大幅かつ急速な拡大に沿うかたちで、増えていることだ。65歳以上の非労働力人口は、2702万人(原数値)と、20年4月以来の2700万人台となった。年金などの不足を、賃金収入を補っていたのが、感染のおそれから仕事を断念せざるを得ないとすると、生活が立ち行かなくなる高齢者も増えてくる。

もう少し「働き止め」をせざるを得ない人々にも目を向けてもいいと思うのだが、どうなのだろうか。

2020年12月の労働市場(3)

概ね安定もしくは小康状態にある12月の労働市場の動向のなかで、一部変化の兆しがみられるのが、休業者だ。

労働力調査では、12月は20日から26日の状況が調べられるが、この期間、休業者数は202万人(原数値)と、昨年8月以来、ふたたび200万人台となった。前月11月に比べて26万人増えたほか、前年同月より16万人多くなっている。

この状況は、今年に入って緊急事態宣言が出される前の状況だ。昨年は宣言前の3月時点で休業者は249万人となり(2月は196万人)、宣言期間中の4月には597万人と爆発的に増加した。今回の緊急事態宣言を踏まえ、休業を強いられることになった人がどのくらい増えたのか、1月の状況が注目される。

休業者の内訳をみると、就業者が伸び悩んでいる卸売・小売で18万人、飲食・サービスで12万人と予想通り多い。それに加えて製造業でも24万人、建設業で17万人と、休業者は多数発生しており、窮状を訴える声がいまだに多いこととも整合的である。

ただいずれの産業の休業者数も、前年同月に比べると、必ずしも突出して多くなっているわけではない。それでも今後、これらの休業者の実際の数値がどのように再び収束に向かっていくかは、特例措置などの是正のタイミングを定める上でも重要になっていくだろう。

ちなみに前回の緊急事態宣言時に、休業者とならんで急増した非労働力人口については、季節調整値でみても、全体的には増加傾向をまだ示していない。ただし65歳以上の非労働力人口に限ると、昨秋以来の感染拡大に並行して、前年同月に比べて増加する状況が続いている(原数値)。感染リスクを踏まえて働き止めをふたたび選択した高齢者が、今回の緊急事態宣言で増えているかも、来月確認すべきポイントの一つだろう。


2020年12月の労働市場(2)

今月も
先月までと同様
産業別の就業者数の動向について
過去7年の平均との比較を行ってみた。

その結果、
過去7年平均に比べて
もっとも減少幅が大きかったのは
卸売・小売業の16万人減。
10、11月と回復気味だったのが
再び大幅な減少となった。
次いで減少が大きいのは
やはり飲食・宿泊サービス業の12万人減。

複合サービス業なども含めて
対消費者向けサービスを中心にする業種に
感染の影響は集中しつつある。
製造業や医療・福祉など
就業者数の多い産業は、
ほぼ感染の影響を脱しつつある。

そろそろ雇用維持政策も
全方位的な対応を
見直す準備を始める
べきときではないか。