正社員にせよ、
非正社員にせよ、
実は中身はかなり
曖昧という話を
してきました。
でも、じゃあなんで
ずっと話題になっているの?
と思う人もいるかもしれません。
2013年に
小倉一哉さんという早稲田大学の先生が
『「正社員」の研究』
(日本経済新聞出版社)
という、とてもユニークな本を
書かれています。
その第一章には、
正社員という言葉の歴史が
詳しく調べられています。
古いところでは
まだ明治時代だった1901年に
操業が開始された八幡製鉄所
には、当初から
「職員」と「職工」という区分が
あったそうです。
1930年代になると、
日立製作所などでは
「社員」と「職工」という区分があって、
異なる就業規則が適用されていたそうです。
戦後1940年代後半になると
「社員」と「工員」という身分差の
解消に労働組合などは努力します。
年功賃金や長期雇用などの
いわゆる日本的雇用システムが
広く普及したのは、1950年代以降
というのが、多くの研究者の定説です。
ただ、その頃の文献には、まだ
「正社員」「非正社員」という区分や
その差を解消しようといった表現は
登場していません。