独創

大学では
研究所に属している。
授業も担当しているが
受講しているのは
もっぱら大学院生となる。

学部を卒業して
大学院に入ってから
2年目もしくは3年目の
大学院生にとって
最大の課題は
修士論文を提出し
修士号の学位を取得することだ。
修士論文の提出は
だいたい年明け直後くらいだろう。

これまでたくさんの
修士論文に挑む大学院生の姿を見てきたが、
勝負は夏、特に夏休みになる。

夏を制するものは受験を制す
ようだが、
夏を制するものは学位も制す
のだ。

修士論文に限らず、
博士論文もそうなのだけれど、
審査員の一人となった場合、
評価で最も重視するのは、
それが独創的であるかどうか
ということになる。

では、
独創的(オリジナル)であるとは
どういうことなのか。

Original は、Newとは違う。
Newは必ず陳腐化する。すぐに追いつかれる。
それに比べて簡単な追随を許さない圧倒的な
ものがあるのが、本当のOriginalというものだろう。

それを乗り越えることには
一定の価値があるというのが
知る人ぞ知るという状態なのだが、
そのためには、膨大な時間と労力、
そして忍耐を要することも同時にわかっている。

だから、これまで多くが足を踏み入れることが
できないままでいた。それを地道な努力と
ちょっとした工夫もあって、コツコツ積み重ねた
結果、一つの境地に到達したとき、そこには
なにがしかのOriginalが含まれている。

Originalに運よく到達できた人々は、
不幸にもその域まで進むことができなかった
先人が何にどれだけ奮闘してきたのかもよく理解できる。
そのためOriginalには、過去への深いRespectが
必ず伴っている。

Originalの実現には、時間がかかると同時に
しんどいプロセスであるぶん、
ときには何も考えず、ただただ
一定のリズム(Rhythm)に乗ってやり続けることも求められる。
修士論文でOriginalにたどり着くためには、
勝負となる秋に、論文を書くことのリズムを
すっかりに身に付けていなければならない。
だから夏が勝負になるのだ。

今年は大学に行って資料やデータなどを集めることに
いろいろと制約があったり、
調査のために現地を直接たずねることができないなど、
多くの困難のなかで、大学院生は論文作成に挑んでいる
ことと思う。この夏を地道な努力と小さな工夫で
活かしてほしいと思っている。

トーキングウィズ松尾堂

8月2日(日)12時15分~13時55分
NHKFM「トーキングウィズ松尾堂」
https://www4.nhk.or.jp/matsuodo/

2012年の3月11日に大林宣彦監督と
ご一緒させていただいた番組から
大林さんを偲んで編集された内容
が放送されるそうです。

そのときにお目にかかった限りですが
とても穏やかで包容力にあふれた方だった
印象が残っています。

放送が楽しみです。

 

予想

今週金曜の31日に
労働力調査と
職業安定業務統計の
6月分の結果が
公表される。

これまで
感染症拡大後の労働市場の特徴として
3月が感染浸透による変化の「兆候」
4月が感染爆発に対する緊急の「対応」
5月が対応の継続と緩やかな回復の「混在」
と表現してきた。

はたして6月はどうなっているだろうか。

現時点の予想としては、
対応に少なからず継続傾向が残るものの
多くの事業が再開へと向かい始めたことで
「混在」からは「起動」へと進んでいることが
考えられる。

5月時点で就業者数全体は既に回復の兆しが
みられていたが、よりその動きは
強まっているかもしれない。
400万人以上と多数にのぼっていた休業者の多くが
仕事に復帰していたり、フルタイムから短時間に
一時的にシフトしていたのが元の勤務時間に
戻し始めていることも考えられる。
問題は、その程度がどのくらいに達しているか
ということだろう。

一方、これまで罹患リスクを恐れて
就業を断念し非労働力化していた
高齢者などの「働き止め」が
解消に向かっていれば、
多くが求職活動を再開したことで、
失業者数が増えていることも考えられる。
有効求人倍率は、
求人と求職の両方が増えている可能性があるため
上昇と低下のどちらに振れたかは、わからない。

さらにかりに6月は「起動」が特徴だったとして、
それが継続するかどうかは、きわめて不透明だ。
もっといえば、先行きは今度の6月の結果より
厳しくなるのではないか。

今回の労働力調査は、
6月の月末1週間の状況についての結果だが、
その頃には、7月に入ってからのような
感染者数の急激で大幅な増加は
未だ見られていなかった。

東京の新規感染者数をみても
200人を超えたことが
連日報道されている
7月の現時点に比べ
(全国では1日1000人に迫ろうかという勢い)、
6月末の時点では、
まだ日々100人未満で
(全国でも100人台前半もしくはそれ未満)
さほどの増加傾向も生じていなかった。

東京圏の企業のみならず
多くの人々の将来見通しは
感染症もしばらくは
落ち着きを見せるのではないかと
おそらく期待も含めて
より楽観的だったろう。

現在行われている7月の調査結果では、
感染者数も前回を大きく上回り増えていることや
思ったほどは顧客や受注が回復しないことから、
4月時点よりも企業側の先行きの見通しは
「持続的」に厳しくなっていることが考えられる。
その場合、春先のように
休業や短時間就業を再び増やすことによって、
雇用を一時的に守ろうとする動きは以前ほどはみられず、
雇用調整はより深刻なかたちで本格化する可能性もある。

その状況が分かるのは、
次回9月1日の発表結果まで待つことになる。

青草

今朝、
音を立てるくらい
雨の降っていたのが
急速に雲が晴れる。

昼前には、
蝉の声と
草の匂いが
気持ちのよいことに
なっている。

と思ったら
昼過ぎから
急速に
曇り空。
今度は
なんだか
雨の匂いが
してくる。

また雲が
晴れたと思ったら
今度は
天気雨。
そしてまた曇り。

また降った。
また止んだ。

またまた激しく降ってきた。
またまた止んだ。蝉の声。

過多

今、
大学生では
ちょうど
試験期間という場合も
多いかもしれない。

多くの場合、
オンラインで実施の試験だろう。
カンニング対策として
Zoomのビデオをオンにすることで
監督に代えていることもあるという。

これまでオンラインの授業でがんばってきた
大学生もなんとか試験を乗り越えて
少しだけでもゆったりとした夏休みを
迎えてほしいと思う。

それにしてもオンラインでは
指示が得てして過多になりがちな
懸念がどうしてもある。それは
宿題や課題を与える方にとって
受ける方の状況が正確につかみにくいために
むしろ
「まだ足りていないのではないか」
「在宅でできるぶん余裕があるだろう」
とどこかで勝手に思いがちになることが
原因としてあるように思う。

大学の授業の場合、
教員同士で課題の量や質を相互に調整するような
ヨコの連携があることはおそらく珍しいので
(教授会などは教育上の調整の場ではないため)
それぞれの教員が思いのまま課題を出すとなると
学生はたまったものではない。

会社の仕事の場合、
直接の上司は一人であったとしても、
隣接や関連の部署から間接的に仕事の
依頼や打診を受けることもあるだろう。
オンラインの先でそのような状況にあることを
管理職同士で把握できていないと、
頑張ってしまう人、断れない人ほど
多くの仕事を抱え込んでしまうことになる。

状況を変えるためには
「いっぱいです」
「時間がほしい」
「他の状況はこうなっています」
などと、声をあげるしかないのだが、
新入生や新人社員の多くは、
それすらむずかしいだろう。
これまでだと
先輩に相談することになるのだろうが
今回は先輩との面識すら
まだないということもある。

今のところは
教員や上司が
学生や部下の負担状況を
個別に適宜確認しながら
進めていくしかないのかもしれない。

オンラインの講義や仕事は
これからも一定程度進んでいくだろうが
宿題や業務が過多にも過小にもならない
程合いをどうみつけていくかが、
本当の意味での課題だろう。