SNEP (16)

 孤立無業と非孤立無業では、
 睡眠時間にも違いがあるようです。
 非孤立無業の平均睡眠時間は
 8.3時間だったのに対して
 孤立無業は8.5時間とわずかですが
 スネップの方が長くなっていました。
 なかでも一人型のスネップほど、
 睡眠時間は長くなる傾向がありました。
 テレビをよく見ていたり、睡眠時間が
 長いなど、スネップの生活は、
 ひきこもりについての「イメージ」
 に通じる部分が多いかもしれません。
 
 またこれまでひきこもり支援の活動を
 している方からは、日本ではひきこもり
 のなかにネットに耽溺するネット依存や
 ネット中毒は必ずしも多くないのでは
 ないかという声をよく聞きましたが、
 スネップにも同様の傾向がみられました。
 ただし、それらはあくまでひきこもりの
 「イメージ」でした。ひきこもりについての 
 統計調査は必ずしも多くなく、内閣府が
 2010年に行った調査では、有効回答者数
 3287人のうち、ひきこもり群は59人のみで、
 ひきこもりに近いとみなせる人々も131人に
 すぎず、詳細な計量分析には限界がありました。
 
 また厚生労働省によるひきこもりガイドライン作成の
 もととなった調査でも、20歳から49歳の調査対象者
 1660人のうち、ひきこもり経験者は実は19人のみでした。
 それに対して、ここでスネップと定義された回答者は
 1000件以上、正確には1146件にのぼります。これだけの 
 調査協力者があると、一定の信頼性を保たれた統計分析
 ができるのです。スネップは「イメージ」ではなく「実態」が 
 明らかにできるのです。
 尚、ひきこもり、ニート、スネップの関係については、
 地域若者サポートステーションで働いている方から
 次のような投稿がありました。孤立と無業との関係に
 ついてのご指摘です。
>> かねてからブログを拝見おりまして
>> 「スネップについて、意見があれば」
>> とのことでしたので、
>> 日々困難を抱えた若者と接している現場の感覚が
>> 少しでもお役に立てればと思い、メールをさしあげました。
>>
>> スネップについて直接は申し上げられませんが、下の①~③は、
>> 失業者→NEET(日本の定義)→社会的ひきこもり→引きこもり
>> と「アッという間に」孤立していく心理状態をまとめたものです。
>>
>> 若者当事者たちに「こういう感覚?」と聞くと
>> 「そうそう!こんな感じ!」と言われることがほとんどなので、
>> 科学的な根拠はありませんが、大きく外れてはいないと思います。
>>
>> ①失業者→NEET に陥るときの心境
>> ・例えるなら、就職を求める人たちの長い行列の後ろの方に自分は並んでいる
>> ・その行列は、前の方だけ入れ替わっている様子は感じるが、
>>  少しずつでも自分の順番が前に繰り上がっていく気配はない
>> ・このまま並んでいても希望は見えないし、
>>  かと言って他の方法が思いつくわけではない
>> ・しばらく並んでいたが、どう考えても自分の番が来そうにないので断念した
>>  →希望を失って就職活動を断念した瞬間にNEET状態と定義される
>>
>> ②NEET→社会的ひきこもり に陥るときの心境
>> ・仕事をしていないと、久しぶりに会った人の
>>  「いま、どうしてるの?」という質問が怖い
>> ・親戚の集まりや同級生の集まりに顔を出せなくなる
>> ・近所の人にもあまり会いたくない
>>  →そもそも仕事をしないままで対人関係を保つのはとても難しい
>>  →気まずさ、後ろめたさ、引け目から、自ら対人関係を切り、孤立する
>>
>> ③社会的ひきこもり→ひきこもり に陥るときの心境
>> ・一人で時間を「潰せる」場所は、外にはなかなかない
>> ・コンビニ、電気屋、ブックオフなど、そんなに足しげく通えない
>> ・家族にも会いたくないが、出かけるのも辛い
>>  →対人接触をしないままで外出しつづけるのはとても「しんどい」
>>  →ゲームがしたくて家にいるのではなく、家にいざるを得ないので
>>    ゲームやPCで時間を潰している
>>
>> というようなことで、仕事を失うことと、孤立していくことは
>> 非常に近い位置にあると彼らは言います。
>> 仕事をしない状態のままで、人と生き生きと繋がるなんて
>> よっぽど神経が図太くないとできないよ、とも言われます。
>>
>> そもそも対人関係が苦手だから仕事(就職)を失うのか、
>> 仕事を失うと「後ろめたさ」から対人関係まで失うのか、
>> ニワトリと卵のどちらが先かは見極められませんが、
>> いずれにせよ、「失業は完全には防げなくても、孤立は防ぐ」というのを
>> 私たちも重視しています。
>>
>> すみません、とても長くなりましたが
>> ほんの少しでもスネップ理論のご参考になればうれしいです。
>>
 ご投稿ありがとうございました。
 ご指摘の「→」の節々にスネップの
 決して楽しげではない表情が見え隠れ
 するような気がします。