SNEP (25)

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 その最新号で、理事長の工藤啓さんが
 スネップについてのご意見を記されています。
 工藤さんの許可を得て、ここに引用します。
 ○
 今週の「週刊エコノミスト」(毎日新聞社)エコノミストレポートで
 東京大学の玄田有史先生が寄稿されています。
 「ニート予備軍 孤立無業者「スネップ」が急増している」
 紙面によると
 「スネップとは、他者と接触のない無業者
 のことを言う。その急増は社会保障費
 の増大に直結する。自立支援の手を差し伸べる対策が急務だ。
 で説明されている。総務省「社会生活基本調査」を元に20歳以上59歳以下の
 在学中でない未婚者で、ふだんの就業状態が無業のうち、一緒にいた人が
 家族以外に一切いなかった人々(調査された連続二日間)を調べたところ
 1996年には無業者の30%に届かなかった「スネップ」が、2006年には
 60%近くに上昇していることがわかったそうです。
 つまり、現在の日本社会は「無業者」であることと「孤独」状況に密接な
 関係性が見て取れるということです。詳細は紙面に譲りますが、
 これまで実際の支援現場に来られる若者も”感覚値”では、比較的家族
 以外の他者とコミュニケーションを取っていないタイプが多かったわけですが
 それを論拠を持って証明することはできませんでした。ひとつには
 相談を受けるにあたってわざわざ「友達いますか?」「孤独でないですか?」
 という項目を立てて、すべての方にヒアリングするわけではないからです。
 もうひとつは、相談をしたり、オープンなコミュニケーションの場で観察
 すると「人慣れ」「話慣れ」していないことを把握することができたからです。
 ちなみに、この紙面では、スネップの方のうち、電子メールの送受信を
 しているひとは40%程度だそうです。つまり、60%はメールも使っていない。
 「自宅でずっとネットやっているのでは?」という話はよくでますが
 感覚値でも、ネット依存型の若者はほとんどおらず、むしろ予想以上に
 使っていない感じがしています。
 そうなると、とにかく難しいのは「出会う」ことであり、重要なのは
 アウトリーチ/(家庭)訪問支援などに頼らざるを得なくなるのではないかと
 思います。
 NEETという言葉が日本に広まりかけた時、英国に調査に行きました。
 そのときにご担当者が話をしていたのは、
 「NEET状態の若者をどうするかも重要だが、何よりも重要なことは
  UnknownをKnownにすることなんだ」
 と言われました。何をしているのかまったく把握されない状況にある方と
 とにかく接触できるよう努力をして、「何もしていないこと」「何かを
 していること」がわかることに全力をそそぐことが重要であると。
 「何をしているかわからない」を、「何もしていない(できていない)」こと
 がわかるようになること。
 もしスネップという言葉が広がるとしたら、この部分にしっかり取り組む
 こと。そして、「来る(来られる)を前提としたサポートにしない」ことを
 強く意識していくべきだと考えています。
 このメルマガを読んでくださっておられる方は、若者への目線がやさしく
 社会課題としての若者支援に理解がある方ばかりなのですが、
 定義がある状態を示す言葉が、「やる気」とか「怠け」といった定義を
 無視したイメージや、「自己責任論」で語られたりしないことを
 願います。 
 
 理事長/工藤 啓
 ○
 unknownをknownに
 ということに、私もとても 
 共感します。
 よく問題解決が必要といわれますが、
 本当に深刻な問題はそんなに簡単に
 解決しません。
 
 むしろ大事なのは、問題発見です。
 本当に大事な課題は発見すらされず、
 当然、解決もしません。
 一方で問題が発見され、共有と共感が
 広がれば、解決に向けて大きく前進する
 という実感があります。
 スネップもそうなってほしいものです。