SNEP (35)

 ● やはりどうして孤立無業が
 増えたのかが、気になります。
 
 最初に予想したのは、高齢化に
 よる自宅介護の影響でした。
 介護を要する必要から働くことが
 ままならず、被介護者のみならず
 介護をする人も外出すらできにくく
 なり、社会的に孤立しているという
 ものです。
 調べてみると、自宅に要介護者の 
 いるスネップは、1996年が2.3万人、
 2001年が5.7万人、2006年が6.4万人
 と、たしかに増加傾向にあります。
 
 スネップ全体に占める割合も
 3.8%⇒7.0%⇒6.0%と増えている
 のも事実です。
 ただ、一方で自宅に要介護者がいる
 スネップはそもそもそれほど多くなく、 
 10年間の45万人スネップ増加のうち、
 4.1万人の増加を要介護が占める程度
 です。
 
 その意味では、要介護の増加がスネップ
 増加の主な要因であるとは、言いにくい
 というのが、率直なところです。
 ただし、スネップに限らず、自宅に要介護
 者がいることは、無業者が求職活動をする
 ことの阻害要因であることは、統計的にも
 明らかです。
 もし介護保険制度が成立していなければ、
 要介護が就業困難に与える影響はもっと
 大きかったと思いますが、さらに自宅に
 介護を抱えている人の就業に対して、どのような
 支援が必要かは、スネップとは別に検討が
 求められていると思います。
 次に増加の背景として考えたのは、長期失業者 
 の増加の影響でした。一年以上の長期にわたり
 失業を続けているうちに、社会とのつながりを失い
 働くことを断念する傾向も強まるかもしれません。
 ただ一年以上の長期失業者が最も増えたのは
 2003年の113万人です。その後は2009年、2010年に
 再び急増するまで、長期失業者は減少傾向にあった
 のです。
 1996年から2001年のスネップ増加には長期失業の
 増加が影響しているかもしれませんが、2001年から
 2006年の増加については、それではうまく説明が
 つかないのです。
 だとすれば、何が原因なのか。
 スネップになりやすいのは、男性、(相対的)高齢者、
 そして非進学者といった傾向があります。ただ、
 変化をみてみると、むしろ、女性、20代前半、大学などへの
 進学者ほど、無業者に占めるスネップの割合はより
 増加しているのです。
 以前はスネップになりにくかった人でも
 スネップになる人が増えている。
 これを私は『孤立無業の一般化』もしくは
 『孤立無業の大衆化』と呼びたいと思います。
 なぜ孤立無業の一般化が生じているのか、 
 その原因は今のところ不明です。この点を
 解明するのが、今後の重要なテーマの一つ
 です。