在学

3月来、
感染症拡大で
仕事に最も直接的な
打撃を受ける人々として、
学校に在学しながら
アルバイト・パートなどで
働く学生・生徒の存在を
述べてきた。

労働力調査(基本集計)では
教育に関する項目別の統計がないため、
在学アルバイトなどへの影響について
追加の情報は残念ながらない。

最新の結果は5月中旬の詳細集計のまま。
https://genda-radio.com/archives/date/2020/05/15

5月15日に書いた主な内容を整理すると、

1)過去最多の200万人を超えていた在学中の
15~24歳のパート・アルバイトは、
2020年1-3月期には12万人減少し、
パート・アルバイト全体減少の半分以上を占めた。

2)仕事を失った大部分は大学生もしくは大学院生で、
その数は10万人に達していた。

3)大学卒の非正規(フリーター)よりもアルバイト
大学生のほうがさらに雇用は不安定な可能性が大きい。

など
(次の最新情報である4-6月期の詳細集計の公表は
8月11日と先になる)。

政府や学校などでの対策として、学生・生徒アルバイトの
厳しい状況に対して、生活費の補填や教育費の免除などの
動きは見られつつある。
一方で、学生や生徒を、一人の労働者として
労働の行政や制度によって保護するといった動きは、
遅々として進んでいないようにみえる。

背景には、学校に通っている
児童、生徒、学生は、
すべて教育行政の管轄という原則があるのだろう。
在学生は、労働行政の対象ではないため、
雇用政策としては、迂闊に手が出せないといった、
杓子定規の行政区分の明確化による弊害が
如実に表れているようにみえる。
学校の内部に教育以外の行政が
入っていくことの障壁は、今もなお高い。

中学での職場を主とする地域での体験学習や
高校や大学に在学中のインターンシップ、
卒業後の新規採用に向けた就職ガイダンスなど
在学生の働くことについて
学校が積極的に関与すべき点は多い。

ただ表向きは禁止されているが
実態は見てみぬふりをしているだけの高校生アルバイトや、
正式な雇用契約もなく、いわば雇い手の言いなりで
働き、結果的に深く傷ついている大学生アルバイトは
後を絶たない。学校や教員だけによる対応には、
どうしたって限界がある。

2001年に『仕事のなかの曖昧な不安』を書いたときに
比べれば、若者への雇用対策は拡大に進んだが、
在学生の就業者に関しては、これだけ増えたにも
かかわらず、特段の整備も進んでいない。

学生・生徒のアルバイトにも雇用契約を徹底し、
労働者としての権利を守ることや必要な保護を
行う必要性を2019年に拙著『雇用は契約』などで
述べてきたが、まったく無力だった。
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480016652/

今回、日々の生活にままならない大学生などを
生活面で緊急支援すると同時に、今や多くの職場で
欠かせないれっきとした働き手としてその権利を
守る気運につながることを祈るばかりである。