3月の官邸ヒアリングや
4月に中央公論に書いた記事でも
今回の不況では、
フリーランスとならんで
在学中のアルバイト・パートへの
打撃が大きくなりそうなことを
指摘してきた。
そして緊急の対策も講じられつつある。
では実態はどうなのだろうか。
報道やSNSでは個別事例に焦点が
あてられることが多く、それ自体貴重な
情報ではあるが、かならずしも全体像や
大きな方向性と一致している保証はない。
そこで本日発表になった
総務省統計局「労働力調査」(詳細集計)
の結果から全体的な動向をみてみる。
2002年の調査以来、
2019年10-12月期において
過去最多の203万人(実数)に達していた
在学中である15~24歳のパート・アルバイト数は
感染症が広がり始めた
2020年1-3月期には
12万人減の
191万人となっている。
同じ期間中、
労働市場全体で
パート・アルバイトは
23万人減っており、
減少の半分以上が
在学中の学生や生徒から生じたことになる。
パート・アルバイトを含む
非正規の職員・従業員全体でみると、
減少は34万人とへさらに拡大し、
なかでも65歳以上の減少が12万人と
大きくなっている。健康に不安を感じる
高齢者ほど早々にみずから「働き止め」をし、
労働市場から退出した可能性などが背景にはあるだろう
(「2020年3月の労働市場(1)」2020年4月28日)。
ただ非正規の減少のうち、65歳以上と
同程度もしくはさらに大きい13万人が
在学中の15~24歳から起こっていること
からもその影響の大きさがうかがえる。
さらに詳細集計では、
学歴別の状況も把握できるが、
大学または大学院に在学している
パート・アルバイト(年齢不問)は、
146万人から136万人へと
10万人減少している。
大学もしくは大学院を「卒業」して
パート・アルバイトで働く雇用者が
同じ期間には12万人増えており、
フリーターよりもさらに在学生の
雇用が不安定化しているように
この時期見て取れる。
3月までの時点で、
学生アルバイト等の雇い止めは
飲食店やサービス業などで働いてきた
大学生を中心に実施されていた可能性が
大きいように思われる。
これから詳細集計の結果を
みていきたい。