『地域の危機・釜石の対応(2)』

釜石や福井を含む、さまざまな魅力を持つ
国内の地域をたずねてきた。
それらの訪問を通じて辿りついた仮説が、
これだった。

「人口が減っても、地域はそう簡単になくならない。
だが、小ネタが尽きると、あっという間に地域は衰退していく」。

言い換えれば、
小ネタが尽きない限り地域は持続する。
小ネタこそ、衰退という危機を回避し、
未来を創造する要素なのである。

小ネタなどと言うと、
あまりにカジュアル(気軽)な用語のため、
学術にそぐわないという批判もあるかもしれない。
だが、その言葉による発見を各地で話すと、
多くの共感をいただくこともできた。

各地でこれらの小ネタにまつわる仮説とその効果などを
「KNT理論」として話すと思いがけず反響も得た。
ちなみにKNTは小ネタ(KONETA)の頭文字であって、
けっして大手旅行会社の略称ではない。

これまでの地域調査の発見をまとめた
KNT理論についてお話ししてみたい。

(続く)

東大社研・中村尚史・玄田有史編、東京大学出版会
『地域の危機・釜石の対応 多層化する構造』より
http://www.utp.or.jp/book/b508909.html
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784130302173
2020年7月2日発売予定