2020年8月の労働市場(1)

本日朝、
2020年8月分の
総務省統計局「労働力調査」
厚生労働省「職業安定業務統計」
の集計結果が公表。

8月は、
検査陽性者、要入院治療者、重症者
などが急増するなど、4月に次いで、
感染状況自体は深刻だった。

それに対し、就業情勢は、
引き続き宿泊業、飲食サービス業、
また新たに製造業に深刻な状況が広がる一方、
それでも全体的には感染拡大前の状況へと
緩やかな回復傾向が続いているのが
特徴といえる。

完全失業者数も3年3ヵ月ぶりと久々に
200万人台に達したものの、
求人の緩やかな持ち直しなどもあり、
有効求人倍率は低下しつつも1倍を維持するなど、
少なくとも大規模な雇用崩壊の兆しは
8月時点では見受けられなかった
といってよいだろう。

労働力調査の概要は、
対前年同月比較を含めた原数値や
季節調整値が今月も詳しく
統計局のホームページに記載されている。
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf

そこでここでは先月にもみたように
https://genda-radio.com/archives/date/2020/09/25
第二次安倍政権の期間とほぼ重なる
2013年から19年の7年間の平均との状況を
比較してみた。
https://app.box.com/s/jzrur1nvtqvd6wt111n19mrszdco7cp2

就業者数全体は、
感染拡大前の今年1月時点近くまで
回復し、過去7年平均との比較でも
160万人の拡大を維持している。

正規雇用者数については
製造業の悪化の影響も受けてか、
5月時点の水準まで今月は戻ったが、
それでも平均差で138万人増を維持する
など拡大トレンドは今も続いている。

非正規雇用は感染後に状況の悪化が続き、
8月には平均水準割れも懸念されたが、
むしろ前月の平均差プラス19万人から
プラス37万人に一定程度持ち直したのは朗報だ。

一方、完全失業者数は
過去7年平均との差は2万人まで
縮小した。労働市場の需給ひっ迫などによる
低失業という福音は、感染拡大後に
ほぼ消失したかたちとなっている。
今後は、雇用維持対策とならんで
失業対策がより重点化されるべきことへの
一つの証拠とも言えるだろう。

人口減少や人手不足とともに
200万人以上削減されてきた
非労働力人口は、感染拡大時の4月には
平均差で139万人まで圧縮された。
それが8月になると185万人まで減少幅は
戻りつつある。まだ一部で働き止めは
続いているものの、感染予防対策が
定着したこともあり、労働参加は着実に
回復しつつあるようだ。

依然として厳しい状況を示す数値も
少なくないが、同時に就業情勢が
着実な回復軌道に乗っていることを
意味する数値にも目を向けていくべきだろう。