協調

ここ何年間か、
労働組合やその関係の方々との
研究会に参加する機会があった。

それぞれ将来について危機意識を
もっていて、さらにその解決は簡単
ではない印象を持った。と同時に、
その課題は、組合固有のものもあるには
あるだろうが、根本に横たわっている
ものは組合に限らず、社会全体を覆う
ものであるようにも感じた。具体的には
リーダーとなり手がいない、やるだけの
時間がない、みんなの意識が一つにならない
等など。

それともう一つ印象的だったのは、
労働組合の実践にかかわってきた人たちの
多くが、これからも組合活動の基本として
これまで培ってきた労使協調は大事にしなければ
ならないということについて、揺るぎのない確信と
信念を持っていたことだ。

雇用のシステムや働き方などに大幅な見直しが迫られるなか、
労使がともに信頼できるパートナーとなって
協調して課題に対処していくべきだと、多くが
考えていた。それは組合だけでなく、経営でも
共通するのではないか。労使の対立を前提としている
米国とは大きく違っている。

ただ、労使協調が今後も大事だとしても、そのあり方
はたえず再構築が必要になるだろう。長期経済不況や雇用過剰の
なかでの労使協調と、高齢人口減少社会や人手不足のなかでの
労使協調は、取り組み方や取り組む課題は当然違ってくるはずだ。

女性を含むリーダーの不在や、組合活動を行う時間がないことが
課題であって、それが長期的には企業経営にとってもマイナスに
なるとすれば、企業も積極的に課題解決に協力していくべきだ。
具体的には、組合活動を女性のキャリア形成として積極的に応援
したり、必要であれば、就業時間中の組合活動を認めることも
多いに検討すべきだろう。労使の狭間にあって疲弊している
中間管理職の処遇改善も、労使で協調して取り組むべき重要課題だ。

なにかと不和や対立ばかりが広がるなか、日本で固有に培ってきた
職場における協調という独自のあり方にさらなる進化が期待される。