予想

今週金曜の31日に
労働力調査と
職業安定業務統計の
6月分の結果が
公表される。

これまで
感染症拡大後の労働市場の特徴として
3月が感染浸透による変化の「兆候」
4月が感染爆発に対する緊急の「対応」
5月が対応の継続と緩やかな回復の「混在」
と表現してきた。

はたして6月はどうなっているだろうか。

現時点の予想としては、
対応に少なからず継続傾向が残るものの
多くの事業が再開へと向かい始めたことで
「混在」からは「起動」へと進んでいることが
考えられる。

5月時点で就業者数全体は既に回復の兆しが
みられていたが、よりその動きは
強まっているかもしれない。
400万人以上と多数にのぼっていた休業者の多くが
仕事に復帰していたり、フルタイムから短時間に
一時的にシフトしていたのが元の勤務時間に
戻し始めていることも考えられる。
問題は、その程度がどのくらいに達しているか
ということだろう。

一方、これまで罹患リスクを恐れて
就業を断念し非労働力化していた
高齢者などの「働き止め」が
解消に向かっていれば、
多くが求職活動を再開したことで、
失業者数が増えていることも考えられる。
有効求人倍率は、
求人と求職の両方が増えている可能性があるため
上昇と低下のどちらに振れたかは、わからない。

さらにかりに6月は「起動」が特徴だったとして、
それが継続するかどうかは、きわめて不透明だ。
もっといえば、先行きは今度の6月の結果より
厳しくなるのではないか。

今回の労働力調査は、
6月の月末1週間の状況についての結果だが、
その頃には、7月に入ってからのような
感染者数の急激で大幅な増加は
未だ見られていなかった。

東京の新規感染者数をみても
200人を超えたことが
連日報道されている
7月の現時点に比べ
(全国では1日1000人に迫ろうかという勢い)、
6月末の時点では、
まだ日々100人未満で
(全国でも100人台前半もしくはそれ未満)
さほどの増加傾向も生じていなかった。

東京圏の企業のみならず
多くの人々の将来見通しは
感染症もしばらくは
落ち着きを見せるのではないかと
おそらく期待も含めて
より楽観的だったろう。

現在行われている7月の調査結果では、
感染者数も前回を大きく上回り増えていることや
思ったほどは顧客や受注が回復しないことから、
4月時点よりも企業側の先行きの見通しは
「持続的」に厳しくなっていることが考えられる。
その場合、春先のように
休業や短時間就業を再び増やすことによって、
雇用を一時的に守ろうとする動きは以前ほどはみられず、
雇用調整はより深刻なかたちで本格化する可能性もある。

その状況が分かるのは、
次回9月1日の発表結果まで待つことになる。

青草

今朝、
音を立てるくらい
雨の降っていたのが
急速に雲が晴れる。

昼前には、
蝉の声と
草の匂いが
気持ちのよいことに
なっている。

と思ったら
昼過ぎから
急速に
曇り空。
今度は
なんだか
雨の匂いが
してくる。

また雲が
晴れたと思ったら
今度は
天気雨。
そしてまた曇り。

また降った。
また止んだ。

またまた激しく降ってきた。
またまた止んだ。蝉の声。

過多

今、
大学生では
ちょうど
試験期間という場合も
多いかもしれない。

多くの場合、
オンラインで実施の試験だろう。
カンニング対策として
Zoomのビデオをオンにすることで
監督に代えていることもあるという。

これまでオンラインの授業でがんばってきた
大学生もなんとか試験を乗り越えて
少しだけでもゆったりとした夏休みを
迎えてほしいと思う。

それにしてもオンラインでは
指示が得てして過多になりがちな
懸念がどうしてもある。それは
宿題や課題を与える方にとって
受ける方の状況が正確につかみにくいために
むしろ
「まだ足りていないのではないか」
「在宅でできるぶん余裕があるだろう」
とどこかで勝手に思いがちになることが
原因としてあるように思う。

大学の授業の場合、
教員同士で課題の量や質を相互に調整するような
ヨコの連携があることはおそらく珍しいので
(教授会などは教育上の調整の場ではないため)
それぞれの教員が思いのまま課題を出すとなると
学生はたまったものではない。

会社の仕事の場合、
直接の上司は一人であったとしても、
隣接や関連の部署から間接的に仕事の
依頼や打診を受けることもあるだろう。
オンラインの先でそのような状況にあることを
管理職同士で把握できていないと、
頑張ってしまう人、断れない人ほど
多くの仕事を抱え込んでしまうことになる。

状況を変えるためには
「いっぱいです」
「時間がほしい」
「他の状況はこうなっています」
などと、声をあげるしかないのだが、
新入生や新人社員の多くは、
それすらむずかしいだろう。
これまでだと
先輩に相談することになるのだろうが
今回は先輩との面識すら
まだないということもある。

今のところは
教員や上司が
学生や部下の負担状況を
個別に適宜確認しながら
進めていくしかないのかもしれない。

オンラインの講義や仕事は
これからも一定程度進んでいくだろうが
宿題や業務が過多にも過小にもならない
程合いをどうみつけていくかが、
本当の意味での課題だろう。

宿泊

総務省統計局「労働力調査」
によると、
宿泊業で働く人たちは
日本全国で
62万人にのぼる。

その数は
ちょうど
国家公務員として
働く人々と同じ。

宿泊業62万人のうち、
23万人が
5月末には休業し、
コロナ禍が過ぎ去るのを
待って耐えていた。

就業者に占める
休業者の割合は
37%と、
他の産業に比べて
突出して高いものとなっている。

休業者のみならず
宿泊業関係者のほとんどが、
夏になれば、
多少なりとも
宿泊客が戻ってくるのを
心待ちにしていた。

その前まで遡れれば
オリンピックによる
海外からの宿泊客も念頭に
これまでにないような
格別のおもてなし(!)を
準備していたところも
少なくなかっただろう。

このような
次々と見込みが立たなく
なるようなきびしい状況のなかで
今、そしてこれから
なにができるのだろうか。

他の都道府県には
なかなかいけないこともあり、
今回はじめて地元の旅館に
泊まってみたら、
「地元の料理の美味しさを
あらためて知ることができたり、
温泉も空いていて気持ちよかった。
ずっと家にいるしかなかったので
とても気分転換になった。
また来たいと思う。」
などとなれば
どんなにか
いいだろう。

そんな動きが地道に広がる
地域が多くあったり
これから広がっていけば
とてもいいように思うし、
そんな地産地消の指標があれば
ぜひ知りたいと思う。
きっとどこかにあるのではないか。

近所なら日帰りで十分という
ことになるのかもしれないが
それでも宿泊したくなるとすれば
宿泊先でいただく酒こそたまらないということか
朝起きてひと風呂浴びた後の朝食に生きている
よろこびを感じるあたりにあるのだろう。

そして近所の宿泊で一番大切なのは
きっと「何もしない」ことの
醍醐味を心置きなく感じること
なのだと思う。

うちにはそんな余裕もない
というのが大勢であれば
地域の好循環を生み出す契機として
それこそ臨時交付金などの
出番だろう。

前々回取り上げた
臨時交付金の第二次補正予算
の活用事例のなかでは

「44.地域の一店一商品づくりサポート事業
休業要請等に協力いただいている方々に対し、
地元の人材や地元産材を活用するなど、
地域全体の好循環につながる
新たな商品メニューやサービス形態を開発する際に、
奨励金等により支援。」
などがあてはまる。

外からの宿泊客向けの料理の提供でなく
地域の小ネタになるような
地元の人に向けの本当のソウルフードを
手頃な価格で提供してくれるような宿泊施設
があれば、関心を持つ人も一定数いるように思う。

宿泊をするのなら
海外や都市部の人気の場所もいいだろうけれど、
とっておきの通い慣れた旅先が
近所にいくつかあるというように
多くの人々がなれば
それが日常の豊かさというものだと
思うのだが、どうなのだろう。

つなぎ雇用

これまでの仕事を
当分続けられない状況に
なった人々について、
臨時交付金を活用した
「つなぎ雇用」の可能性を
昨日述べた。

つなぎ雇用は、
もちろん正式な名称ではない。
収入や仕事が一時的に途絶えた人が
それらを緊急的にある程度確保する
ために結ばれる臨時の雇用契約ということ
になる。

交付金は単年度ごとの予算になるため
雇用契約は長くてもせいぜい一年といった
短期的なものにならざるを得ない。
基金の場合には、複数年にわたっての
予算執行が認められることが多いので
事実上もう少し長い期間の雇用が
可能な場合もあるが、交付金ではそれよりも
どうしても短くなってしまうことが前提となる。

そのため、期間の定めのない無期雇用に
再就職することを望む人にとってすれば
つなぎ雇用で働くのと並行して、その後の
仕事を探す活動も必要となる。
飲食店を休業中の自営業者など、
元の仕事に復帰することを希望する人に
とっても、つなぎ雇用への従事と
再開に向けた準備との両立が欠かせない。

同時に、つなぎ雇用で働く人にとって、
それが所詮かりそめの仕事にすぎないという
引いたり冷めた気持ちで働くのならば、
必ずや周囲とのあつれきや不和を生み出すことになる。
同様に雇う側にとっては
「雇ってやっている(あげている)」
といった態度がおくびでも現れることになれば
関係は途端にうまくいかなくなり、
仕事も円滑には進まなくなる。

それだけ
つなぎ雇用は
緊急事態だけに認められる
難しい働き方であるという
認識は必要になる。

少なくともつなぎ雇用で働く人々には
公的資金で緊急的に働く機会を提供してもらっている
ことに感謝の気持ちは欠かせないし、
雇う自治体、民間企業、NPOなども
コロナ対策などで業務に忙殺されている状況を
乗り越えるためにいっしょに苦労を分かち合う
一期一会の貴重な人材や仲間として
敬意をもって処遇できるかどうかに
つなぎ雇用の成否はかかっている。