危険な春を前にして

雇用創出のために必要な
 内需拡大策の一つとして
 都市部の主だった駅すべてに
 転落防止柵を設置するという
 のはどうだろうか。
 東京の山手線などでそのような
 計画もあるらしいが、公的資金を
 用いて前倒しで実施する。2010年度
 末をメドにすべての駅に設置する。
 自殺は、「する」ものではなく、
 「吸い込まれる」ものなのだという。
 統計による差はあるが、年間の
 自殺者数は約3万人。人口比で
 みれば、世界的にも悪い意味で
 トップクラスにある。
 それを30年以上前の2万人未満まで
 引き下げることを政権が続く限りの
 目標とする。それを、医療、雇用、治安、
 福祉など、あらゆる政策の大原則の
 目標とする。
 そのような主張をしている人たちが
 いれば、賛成したい。
 

不況のおかげ

 これまで戦後にも何度か不況があった。
 70年代前半の石油危機、80年代半ばの
 円高不況、そして90年代からの失われた
 10年など等。
 90年代後半の不況が、それまでと異なって
 いたのは、「不況でかえって忙しくなった」
 という声が聞かれたことだ。それまでは
 不況で時間や余裕が出来たことで、ラインの
 見直しなど、生産体制を再構築したことが
 その後の復活につながったといわれる。
 はたして今回の不況はどうか。
 不況のなかで、「時間」や「育成」
 のあり方を改めて見直せるか。
 
 それがーー
 いちばん
 ダイジィーーー
 (大事マン・ブラザース)

意欲のわく状況

「希望があるとは、as usual を基準にして、
自分の意識的な行動でよい方向に変える
可能性に関する見通しがあり、
その行動をおこす意欲のわく状況のことを指す。」
——松村敏弘「経済学からみた希望学」より
  シリーズ希望学1『希望を語る-社会科学の新たな地平へ』
          東京大学出版会、2009年4月6日刊行(予定)
 希望学成果報告会2005-2008
 『希望は終わらない』
 http://project.iss.u-tokyo.ac.jp/hope/symposium/090304_symposium.html

手間ひま惜しまず-手書きの履歴書-

 「結局、棚ぼたというのは、ないですから」
 「おしつけられた希望では、ダメなんです」
 いずれも、釜石での調査から得られた希望の
 名言だ。そういえば、昨日のニュースで釜石
 のラグビー市民クラブ、釜石シーウェイブスを
 取り上げていた。
 ますますの深刻化が懸念される雇用情勢の
 改善のキーワードは、結局のところ、
 「手間ひまをかけることをけっして惜しまないこと」
 に尽きるのではないかと思っている。
 オカネをかければ苦労もせずに一挙解決、雇用改善
 といったことは、ない。
 国や自治体の雇用政策はもちろん、企業の人事、
 さらには働く本人など、手間ひまをかけることを
 惜しまず、取り組み続けることが、結局成果を挙げる。
 むかしの学生で、就職氷河期世代のIさんは、
 卒業後、資格試験の勉強をしながら、正社員就職を
 時間をかけて実現した。
 彼女に以前、どうすれば、正社員になれると思う?
 と聞いたことがある。
 
 そのとき、Iは、実にすんなりと、こういった。
 「心を込めて、書き損じのない手書きの履歴書を
 100通書けば、正社員になれますよ。」
 書いているうちに、自然と気持ちも定まり、なぜか
 自信も沸いてくるのだという。さらには、自分が今
 採用する側にたったとき、丁寧に書かれた手書きの
 履歴書の大切さを改めて実感した、という。
 もちろん、これは一つの事例でしかない。
 だが、とても大切なことを語っている事例ではないか
 と思うが、どうだろうか。 

A4紙4~5行で語る真実

  ジョブ(仕事)は、個人が就業機会に出会うこと
によって生じるマッチングの産物である。この
マッチングを経済全体について高めるために
期待されたのは、専門的能力を本人の自助努力
によって形成することだった。
  高度な専門的技能を保有することの重要性は
否定されるものではないが、むしろ実際には
「やる気」や「人柄」に象徴される勤務への
意欲や姿勢といった人的要素が、
転職の成否を決めるカギとなっている。
  その上で就職活動に際しては、
自身がそれらの要素を保有することを
どのように他者に伝えるかという自己表現力が、
個人に求められている。
 
  この自己表現力の形成は、ジョブを求める
すべての人々にあてはまる、世代を超えた
共通課題である。早期退職によって会社を去った人々は、
「今までの会社生活は自分にとって何だったのか」
「一体、自分とは何なのか」というアイデンティティの喪失感とも
呼べる状況を、多かれ少なかれ、経験するという。
そのような状況のなかで、自分と向かいあうことに
ケリをつけなければ、再就職の途は開かれない。
  ある再就職支援会社では、求職者に
「これまであなたがどういう仕事をしてきたのかを、A4用紙に4行から
5行でいいから自分の言葉で書いてみてください」とたずねるという。
  この一見すると簡単そうなことが出来ない。履歴書に書いてある
ような職務経歴ではなく、その背後にある仕事に対して個人が
どういう意思を持って行動してきたかを、自分の言葉で表現するのは
容易なことではない。そのことに本気で格闘し、自分なりにケリをつける
ことができた中高年から再就職は決まっていく。
(『ジョブ・クリエイション』329ページ)