三つの基準

 
  ここ最近、修士論文、投稿論文、博士論文
 など、たくさんの論文を読んだ。そのなかで
 論文の価値を評価する基準を、自分自身、
 三つ持っていることに、ふと気づいた。
 その三つとは
 1.独創性
 2.重要性
 3.厳密性
 だ。どの基準もそれぞれ厳しいものだ。
 いずれについても最低限の水準は超えている
 ことが求められる。その上で、三つのうちの
 どれでもいい、なにかキラリとするものがある
 ことをつい期待する。
 全部でなくてもいい。
 どれか一つでもいい。
 でもどこかで1.を期待している自分が
 いるのもまた事実だ。

人間に格はない④

 「何か経済的・社会的問題が起こっているとすれば、
 その原因を特定の個人の能力の低さや意欲の弱さに
 帰着させてはならない。問題があるとすれば、
 つねにそのような状況を生み出すシステムにこそある。
 疑うべきもの、改善すべきものは、あくまでシステムである」。

人間に格はない③

  家族という、プライベートで他人が土足で
 やみくもに踏み入ることの許されないテーマに対し、
 経済学者を含む研究者は、これからどのように
 向かい合っていくべきなのだろうか。私が
 あらためて思い浮かべるのは、次の石川先生の言葉である。
 「制度化された経済学の最大の弊害は、
 方法論的無反省となる以前に、経済学者が
 どのような社会的役割を果たすかについての
 主体的意識が希薄化してしまうことにある
 のではないだろうか?」

人間に格はない②

 
 今回の本にもいろいろと
 思いいれはある。
 装丁(カバー)も一つだ。
 とても気に入っている。
 装丁は、「まえがき」を受けて
 編集者のMさんが、何度も現場に
 足を運んで撮影したなかの一枚を
 使ったものだ。
 まえがきを読んでいただくと、その
 意味をお分かりいただけると思う。