子どもの自立のきっかけをつくり、
大人にもある程度の余裕を生む。
そんな魔法はなかなかないが、
強いて考えるとすれば、
遅くても小学校段階からの寄宿・共同生活
できる施設・環境を一般にじわりじわりと
広げていくことではないか。
親子が離れて暮らすことは、当事者
にとって抵抗感は少なくないだろう。
でも、実際にそんな活動をしているところは
少なくない。その内容をよく見聞きすれば
その効果は、はっきりするだろう。
本としては足立倫行さんの
『親と離れて「人」となる』が
参考になるかもしれない。
カテゴリー : ベンキョーしてみた
あの日の失業
「2009年の失業-過去の不況と比べた特徴」
『日本労働研究雑誌』2010年5月号
http://www.jil.go.jp/institute/zassi/new/rb01.htm
2008年以来、急速に深刻化した
失業の特徴を、低成長期以降の
何度かの失業率が高まった時期と
比べてみた。
今日、2010年3月の完全失業率が
発表されたが(5.0%)、この論文を書いた
のは、2月末で2009年の年間統計が出揃った
ばかり。冷や冷やしながら、なんとか書き上げる。
以前に雑誌の編集委員をしていたとき、半分意地
で毎年、失業の特集を組んでいた。こんなご時勢でも
まだまだ失業や無業の研究は少なすぎると思う。
だから、ちょっとたいへんだったけど、やってみた。
がんばっている後輩からの依頼は、なかなか断れない
ものなのだ。
きめこまかさとおもてなし
これまでの日本の良いところは
「きめこまかさ」と「おもてなし」だった
と思う。
産業面で、決めこまかさを担っていたのは
主にものづくりの分野、おもてなしを担って
いたのは、一部の流通系も加えたサービス
の分野だろう。
それらはそれぞれすばらしいものだし、
今後も残っていってほしいと思う。
問題は、多くがきめこまかさとおもてなしの
どちらか一方を担うことが多く、その両方を
持ち合わせることが少なかったことではないか。
両方を持ち合わせてきたのは、一部の食べ物屋
さんとか、旅館などが多かった。
やや断定的なもの言いでよくないが
ものづくりは、きめこまかささえ追求すれば
自然と買ってもらえるものと信じていた。
今回のトヨタの一連のトラブルは、そのいったん
を垣間見せたのかもしれない。
おもてなしは、かつてはないなりに、いやないことを
おもてなしで補ってきた。それにきめ細かさの裏打ち
がある「実」があれば、盤石である。
これからは、産業や職業などを超えて、長所である
誰もが「きめこまかさ」と「おもてなし」の両方を兼ね備えよう
とすることだと思う。しかもそれを「精神」や「心」ではなく「技術」
もしくは「知恵」として追求すべきだと思う。
その意味で、高齢社会はチャンスでもある。両方を兼ね備えて
きた、もしきは兼ね備えようとしてきた先人の経験が高齢社会
には蓄積されている。それをもう一度見つめることによってこそ
ヒントは知恵になる。
きめこまかさとおもてなし。
ギネスの泡以上の決めこまかさと
ミシュランを困らせるくらいのおもてなしの
両方を持とうと努力する人の数に
未来はかかっていると思う。
雇用システムワークショップ
昨年度ご好評をいただいた
近未来事業の雇用システムワークショップを
本年度も開催します。
第一回は4月8日(木)3時に私が報告します。
第二回の5月は菅野和夫先生にお引き受けいただき
ました。場所は東大赤門総合研究棟5階センターです。
ワークショップについて詳しくはこちらをご覧ください。
http://das.iss.u-tokyo.ac.jp/future/koyou.html
学生のとき、ワークショップという言葉にはじめて
触れて、何を働きながら売ってるんだろうと
思いました。辞書を引くと、ワークショップとは
1.作業場、仕事場
2.(米語)研究会、セミナー
とあります。みんなで考えながら、作業しながら
いっしょに何かを創り上げていこうという意味では
作業場というニュアンスが好きです。
まさにそんな感じで、研究発表会というよりは、
みんなでいっしょに仕事しながら、システムを
考えていこうと思いながら、やっています。
お昼の時間で恐縮ですが、これからの
雇用システムについて考えたい方でしたら
どなたでも自由に参加可能です。
ご関心の方、どうぞお越しください。
ちなみに私の報告のタイトルは
『人間に格はない』です。
人間に格はない⑤
今回の『人間に格はない』
は、『人間失格』を意識したものではない。
さらに
『人間に核はない』読みましたよ
という、それはそれで意味が深そうな
お手紙をいただくこともある。
共通するのは、はしがきの
石川幹子さんの言葉に対する反応だ。
『一生一作』は石川経夫さんの言葉でもある。
すべて事実である。