震災のときには働いていた人で
震災によって直接的な被害を受け、
仕事を離れなければならなくなった
人は、被災3県で
8.14万人にのぼっています。
速報によればそのうち2012年10月時点でも
仕事をしていない人が
3.36万人と
離職した人の41.3%が
仕事につけていない現状があります。
なかでも自営業だった人は
74.4%が仕事を再開できておらず
雇い人がいなかった自営業にいたっては
81.6%がいまだ無職の状態にあります。
雇われて働く人では
正社員だった人の無職割合が34.4%
なのに対し、
正社員でなかった人の無職割合は
38.7%と高くなっています。
男女別では、
男性の無職割合が34.3%だった一方、
女性で働いていた人の46.6%が仕事に
就けていないのです。
自営業、正社員以外、女性といった
もともと比較的不安定といわれることの
多い働き方をしていた人ほど、今も
働くことの困難に直面している。
震災と雇用のもう一つの側面です。
2013年3月
ケア・トゥーリズム
今週の週刊エコノミストに
ちょっと今まで書いたことが
ないようなことを
書いてみました。
前からすこしずつ考えて
いたもので、
電車に乗っているときに
ある程度
考えがまとまり、
せっかくの機会だということで
書いたものです。
ただ書き終わった段階で
PCが不全になり、結局
思い出しながら、もう一回
書きました。
意外とおぼえているものだな
と思いました。
またご感想などお聞かせください。
震災と雇用(2)
前回、被災地の人々が
ニート化しているわけではない
と述べた。
それは原発事故でたいへんな
思いをしている福島の人たちも
同じだ。
やはり20~59歳の無業者のうち、
働きたいとは思っているが求職活動
はしていない、もしくは
働きたいと思っていない人々の割合は
岩手が73.1%
宮城が71.0%
なのに対し、
福島は74.3%
である。
たしかに福島は若干高いけれども
明確な差ではない。全国平均に比べれば
まだ低いほうの部類に入っている。
男性無業者に限ってみても、
福島は57.0%であり、
岩手の56.5%、宮城の52.1%と比べて
それほどの差ではない。
原発事故による賠償金の問題が
福島の人たちの働く意欲や活動を
阻害しているのではないかという
指摘もある。
しかし統計をみるかぎり
福島の人たちだけが特段に働くことを
望んでいないとはいえないことがわかる。
給付や手当などがあって日々
パチンコなどで一日を持て余している
人が被災地にも少なくないという話も
聞くことがある。
しかし、そのような人たちがいた
としても、それが全体もそうであるように
決めつけることは妥当ではない。
特に異常事態や緊急事態では、
特異な状況があたかも全体的に
そうであるかのように流布する
ことがある。
情報が錯綜しているからだ。
統計は冷静に現実を見据えることの
大切さをあらためておしえてくれる。
震災と雇用(1)
昨日書いた
総務省統計局「就業構造基本調査」
の速報結果を見ている。
そのなかでまず印象的だったことが
いくつかある。
その一つが、
被災地の無業者が、
特にニート化しているわけでは「ない」
ということだ。
高齢者や学生、生徒の多くを除く
25歳から59歳の働きざかりの年齢に
ありながら仕事をふだんしていない
無業者に注目する
(調査された2012年10月時点)。
無業者は、
仕事につきたいと思い求職活動
をしている「求職型」、
仕事につきたいと思っているが
求職活動はしていない「非求職型」、
仕事につきたいと思っていない
「非希望型」に分類される。
このうち「非求職型」と「非希望型」
を加えたものが、いわゆる「ニート」
になる。
度重なる失業給付の延長などや、
さまざまな支援があるために、
被災者が仕事をしようとしていない
のではないか、という声もあるようだ。
はたして、それは事実なのか。
統計をみるかぎり、それは
事実ではない。
被災3県の25~59歳無業者のうち
非求職型は30.4%、非希望型は42.1%
合計のニート割合は72.5%と高くみえる。
しかし、前回調査の2007年の就業構造基本
調査から、全国の20~59歳無業者で同じ
計算をすると、
非求職型は27.6%、非希望型は48.0%
合計のニート割合は75.6%と
あまり変わらないか、むしろ被災3県のほうが
低いのだ。
そこでは、家事を切り盛りしていることの多い
女性割合の地域差の影響が出ているのでは
ないかという疑いを持つ人もいるだろう。
しかし男性に限ってみても、
被災3県のニート割合は54.9%であり。
全国(2007年)の55.7%よりも
低いくらいなのだ。
被災3県で働きたいという意欲が萎えている
わけでは、けっしてない。多くが働きたいと
いう思いを持っている。
東日本大震災の仕事への影響に関する結果(速報)
昨日
東日本大震災の仕事への影響に関する結果(速報)
が総務省統計局から公表された。
http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2012/index.htm
昨年10月に実施された「就業構造基本調査」(5年に1度)
のなかでは、震災が仕事に与えた影響の他、避難や移動の
状況などが調査された。全国で約100万人が回答する大規模
調査で、ここからは県別の他、市町レベルでの震災が仕事や
働く人たちに与えた影響を知ることができる。
毎度毎度いうことだが
重要なのは発見だ。
声にならない声に耳を澄ますこと。
発見のないところに解決の一歩はない。