値段と教養

 今回の希望学の本『希望を語る』で
 多くの方が印象としてお持ちなのは
 「正直、高いな」ということではない 
 だろうか。
 たしかに3,500円(消費税抜き)という 
 のは安い値段ではない。大学の研究は
 税金をつかってやっているのに、さらに
 本で儲けようとするなんて(まったくもう!)
 と思われているかもしれない。
 ただ正直に告白すれば、今回の希望学
 全四巻について、私たちは一銭も報酬を
 得ていない。通常は本が売れると印税というのが
 編者および執筆者に支払われるのだが、
 今回は書き手のみなさんにお願いして
 印税は辞退した。少しでも安い価格で
 読者にお届けしたいと思ったから。
 知り合いの出版関係者から複数現状の
 厳しさを告げるメールが届くご時勢で、
 出版元である東大出版会にとっても
 希望学のシリーズ刊行は一つの挑戦だった
 だろう。不況の影響だけでなく、シリーズモノ
 さらには学際モノはあまり売れないという
 のが定説だからだ。
 その意味で、多くの方が手に取っていただける
 のは、率直にとてもうれしい。本が出来てから
 思ったのだけれど、これが一つの『教養』について
 考える一つのエールになればいいなと思っている。
 教養は、得てして、過去の事柄をなんとも難しく
 考えるといったイメージが強い(少なくとも私には)。 
 今回の希望学は、現代的なテーマを、できるだけ
 専門的な用語などに頼らず、考えようとしたものだ。
 その上で、わけのわからぬことを、あきらめずに
 考え続けるという教養の王道でもあると思っている。
 教養のない自分が、教養について考えるなど
 ちょっと不思議だ。
  

ギリギリの判断

 たいへんありがたいことに
 先週発売となった『希望を語る』について
 早くも重刷が決定したようだ。
 日経、読売、毎日新聞などで取り上げて
 いただいた他、知らなかったのだけれど
 フジテレビの夜のニュースでも話題にして
 いただようだ。
 詳しくは
 http://www.utp.or.jp/
 をごらんください。
 関係者のみなさまに心より感謝申し上げます。
 書店に並んでいない場合にはアマゾンなどの他、
 東京大学出版会にお問い合わせください。
 現在は、5月上旬に刊行の第二段『希望の再生』
 の原稿の最終チェック。締め切りギリギリになっても
 修正箇所がどうしてもあるものだ。
 
 それも本当にギリギリになってみないとわからないから 
 不思議だ。そういえば、高校などの試験などもいつも
 終了間際にミスをよく発見したりした。
 ただ完全にミスではないときには、あせって修正すると
 あとで後悔することもある。それがむずかしいところである
 ことも、ずっと変わらない真実のような気がする。

目白。

 今日は8年ぶりに学習院大學で学部の授業。
 南3-201教室というのは、1992年にはじめて
 学習院に赴任したときに講義した教室だった
 ような気がする。変わっていたのは、黒板が
 ホワイトボードに変わったことくらい。
 7月まで金曜1時から4時まで授業は続く。
 むかしは桜が3月の卒業式には散っていた年
 もあったけれど、今日はまた残っていた。
 学部の授業は難しいけど、やっぱり楽しい。
 学習院には育ててもらったので、いろいろと
 思い出がある。

サクラジオ

 満月の夜桜。最高でしょうね。
 
 ラジオも今週は桜唄が満載。
 どれもいいね。
 ラジオといえば、ここ何年もやっている
 NHK高校講座「現代社会」が今年は
 全面新作の取り直しとなります。さらには
 今年からインターネットからも聴けるとの
 こと。
 http://www.nhk.or.jp/kokokoza/radio/r2_syakai/
 私の出演は5月からですが、その前に4月6日、7日に他の出演者と
 2回にわたり、鼎談(3人で話すこと)をしました。それも↑のところから
 聴くことができます。
 今年はNHKのFM40周年ということもあって、BRUTUSで特集が
 組まれたりと、ラジオ好きとしては嬉しい限り。
 なんつったって、ゲンダラヂオなもんで。
 追伸:年末に比べて年度末には非正規の雇い止めに対する
 支援の報道が少ないのでは?といいましたが、ここ数日
 日本青年館での相談会の報道や、ハローワークでの職員増員
 などの報道も、最近登場していますね。一つひとつの積み重ねが
 大事なのだと私は思います。

とんちき

 なんとなく、本当になんとなく
 ここ最近、使わないようにしている
 言葉がある。
 「きちんと」
 別に明確な理由があるわけではない
 んです。どなた方がお使いになることに
 異論もないんです。でも、自分で使いそう
 と、急ブレーキがかかる。
 きちんとしてないからだろうか。
 きちんと、てっ何だろう?