人間に格はない④

 「何か経済的・社会的問題が起こっているとすれば、
 その原因を特定の個人の能力の低さや意欲の弱さに
 帰着させてはならない。問題があるとすれば、
 つねにそのような状況を生み出すシステムにこそある。
 疑うべきもの、改善すべきものは、あくまでシステムである」。

スポーツ雑感_20100226

 オリンピックももちろんそうだけれど
 スポーツの本当の勝負は競技が
 終わってから始まるように思う。
 競技で勝ったからといって驕ったり
 高ぶることなく、負けたからといって
 卑下したり、投げやりになったりも
 しない。それはなかなかできそうで
 できないことだと思う。
それに競技した本人ができていても、
 周りができなくて残念なことがある。
 
 競技の結果よりも、実力があるだけでなく
 さらに高みを求めてリスクを取る人たちは
 本当にすごいと思う。
 
 

オリンピックと共に

 今、オリンピックの閉会式までに
 書き終えるべき、原稿を書いている。
 そういえば、『14歳からの仕事道』も
 2004年8月に、オリンピックの開会式に
 書き始め、閉会式で書き終わった。
 例年だと、この時期は、花粉症で
 文章を書くのが地獄の季節。
 『働く過剰』も、花粉との戦いだった。
 今年は今のところ、例外的にラクだが
 まだまだわからない。
 

銭湯はエコだっ、というハナシ

 友だちの児玉直美さん(経済産業省勤務)から
 聞いた話。
 ちょっとむずかしいですが、要は銭湯は環境に
 良いそうな、ということで。ご本人曰く
 「大家族で暮らす、内風呂のない、
  昔の日本の生活は、エネルギー消費の観点からは
  良い暮らしでした。非婚化、晩婚化、高齢化・・・
  エネルギー消費からも世相が透けてみえます」。
 〇
 人気の銭湯ブログ。
 http://www7a.biglobe.ne.jp/~masayuki/
 〇
 家庭部門のエネルギー消費量
 (家庭で使われているエネルギーで、自家用車は含まない)は、
 用途別で見ると、
 暖房用 25.0%
 冷房用 2.6%
 給湯用 29.9%
 厨房用 7.8%
 動力他 34.7%(電灯、テレビ等コンセント経由の電力)
 です
 (出所は、
 財団法人省エネルギーセンター(2009),
 「エネルギー・経済統計要覧’09」,
 日本エネルギー経済研究所計量分析ユニット編)。
 日本全体、年間通してみると、冷房用はわずか2.6%に過ぎず、
 一般に思われているよりも非常に少ない量です
 (仮に非常に我慢して冷房用エネルギーを1割減らしても、
 0.26%しか減りません)。
 一方、給湯用(お風呂、台所等の温水)は、
 家庭で使われるエネルギーの3割を占めます。
 つまり、(非常に粗い試算でありますが)、日本の全家庭で、
 1週間に1回お風呂をやめると、30%/7=4%程度、
 家庭部門のエネルギー消費量を削減することができます。
 一方、2008年度の温室効果ガスの総排出量
 (各温室効果ガスの排出量に地球温暖化係数[GWP(注1)]を乗じ、
 それらを合算したもの)は、12億8,600万トン(二酸化炭素換算)、
 そのうち、エネルギー起源CO2は11億3800万トンです。
 家庭部門のエネルギー消費量は、そのうち14%を占めます。
 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg/2008sokuho.pdf
 
 仮に、家庭部門で4%エネルギーを削減することができると、
 日本全体のエネルギーは、14%×4%=0.6%エネルギー消費量を
 削減することができます。
 都市ガスの給湯器で、300Lのお風呂に40度のお湯を満タンにためると、
 例えば、冬であれば水道水10度から40度まで温度を上げなければ
 なりませんから、
 300L×(40-10℃)=9000kcal=1.9kg-CO2
 (都市ガスでお湯を沸かす場合には、都市ガスの排出係数は
 2.09kg-CO2/10^4kcalです。
 LPGですと都市ガスの1.25倍、
 灯油ですと都市ガスの1.5倍程度の排出係数)
 2,3年前に、環境省が「1人1日1kg」(CO2を削減しよう)
 というキャンペーンを行っていましたが、家庭部門の総排出量を
 総人口で割った単純平均では、日本人の家庭でのエネルギー消費量は
 1日当たり3.5kgです。
 
 つまり、「1人1日1kg」削減は、28%削減相当であり、
 お風呂を週1回やめた程度では達成できません。
 家庭部門のエネルギー消費量は、1990年度に比べると、
 2008年度は+34.7%となっています。その増加の多くは、
 単身世帯の増加によるものです。
 給湯用エネルギーを減らすためには、追い炊きをしない、
 湯張りをせずにシャワーで済ます、銭湯に行く等の努力が肝要です。
 家庭の省エネは、我慢した割には、エネルギー消費量、
 エネルギー消費金額が減らないことで疲れて挫折する人が多いです。
 正しい知識を持って、努力の意味がある省エネをすることが、
 日本のエネルギー消費量を減らすことに繋がります。

「5人」の秘密

 あるとき、きいた話。
 
 貧者の銀行として知られるグラミン銀行が 
 銀行として成立している秘密は、「5人」に
 あるらしい。貧しい女性に資金を貸し出すときは、
 5人の共同責任を取れるチームを対象とするのだ
 そうだ。ポイントは「5人」だそうだ。
 考えてみると、「5人」というのは、言い得て妙だ。 
 まず良い組織をつくるとき、偶数というのはむずかしい。
 なにか対立になったとき、割り切れてしまってどうにも
 収拾がつかなくなる。
 では7人はどうか。3対4にはなるが、なんとも7人というのは、
 全体の把握がむずかしい。映画 「七人の侍」も、基本的には
 個人の集団だったし、最後の志村喬のセリフも「今回も負け
 戦(いくさ)だった」。
 では3人は?2対1になったとき、いかんせん、一人は孤独だ。
 それに会話をするとき、休んでいる一人には、すぐ順番が
 回ってきてせわしない。がんばれ、パフューム。
 それに引き換え、5人はちょうどバランスがいい。
 そういえば、SMAPは5人になってブレークした。 
 今子どもや大人に一番人気の嵐も5人。ゴレンジャー
 以来、5人戦隊の番組は超長寿。5つあれば、
 だいたいの要素が組み合わせられるのだろうか。
 
 人気のカーリングも、サポートメンバーを入れれば
 5人だな。そういえば、オリンピックはそもそも
 「五輪」だ。
 これから何かをしようとするとき、信頼できる
 仲間が自分以外に4人いるかどうかを、ひとつ
 考えてみてはいかがでしょう。
 ただし、5人でうまくいかなくても責任は
 取れませんが。