2020年10月についても、過去7年平均と比べたときの就業者数の増減を産業別に計算してみた。
すると、過去7年よりも増えたのは、次のような産業だった(カッコ内は前月9月時点での7年平均との差)。
医療、福祉 67万人(71万人)
学術研究、専門技術・サービス業 24万人(20万人)
その他のサービス業 20万人(17万人)
感染により以前の仕事を離れた人々が、職業訓練、資格取得、就職活動などの期間を経て、介護などの福祉の仕事に従事する流れが定着しつつあるかもしれない。専門的な技能を持つことは、景気の突然の変動にも強いことも、物語っているのだろう。
さらに宿泊、飲食業は、10月では過去7年より1万人増と、4月以来はじめて増加に転じた。11月の感染の再拡大前だった10月時点では、飲食業などに本格再開の見通しが生まれつつあったのかもしれない。11月以降は、どうなるだろう。卸売、小売業も9月には平均より21万人少なかったが、10月には2万人増加と、同じく感染後はじめて増加となった。
反対に、過去7年より減ったのは、次のとおり。
農業、林業 マイナス15万人(マイナス31万人)
建設業 マイナス7万人(マイナス1万人)
製造業 マイナス5万人(マイナス15万人)
今年は、飲食店からなどの食料品需要が落ち込んだことで、野菜の価格が安値になっていると今朝のニュースでも報道していたが、それも関連してか、農業はかなり厳しい状況となっている。製造業もマイナス幅は縮小しているが、減少傾向は続いている。建設業も、4月以降、マイナスが続いている。建設はあまり注目されてこなかったが、今度の動向にも目を向けるべきだろう。