本日、総務省統計局「労働力調査」厚生労働省「職業安定業務統計」の2020年11月分の集計結果が発表。これから各種報道がなされ、雇用の引き続きの厳しさが指摘されるのかもしれないが、統計を見る限り、就業情勢は確実に回復基調を続けている。
就業者数(季節調整値)は、10月から11月にかけて43万人増加、4月以降、最大の増加幅となった。3月から4月に107万人も急減したが、4月から11月にかけて76万人の増加と、量的にはかなりの就業が回復した計算になる。反対に大きく増加した非労働力人口も、感染拡大前の最低水準だった4158万人に、11月はピタリと並んだ。休業者数も、すでに感染前の状況に戻ったといってよい。
雇用者のうち、正規雇用にも大幅な落ち込みは見られず、非正規雇用者も趨勢的かつ着実な増加傾向が続いている(いずれも原数値)。
来年の雇用情勢はさらに悪化するという見通しからか、雇用調整助成金などの特例措置の延長が、今年12月から来年2月に決まった。延長措置は、丁寧に雇用情勢を見極めた上で「総合的に」判断することになるのだが、少なくとも現在の情勢には「悪化」という言葉は当たらない。
現場の状況を語る「声」と全体像をとらえる「データ」の両方に、それぞれ事実がある。今後、延長が一部の強引な理由などだけで、ずるずると根拠なく引き伸ばされることのないよう、祈るばかりである。